2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13128208
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 十志和 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40179445)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 伸浩 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30214852)
|
Keywords | ロタキサン / らせん / レドックス / 反応場 / ナノ空間 / 光捕集 / 電子移動 / キラル |
Research Abstract |
ナノメートルサイズの空間で、エネルギー、電荷、あるいは電子の移動を制御することを目的とする研究である。本年度は、(1)両末端にピレニル基を導入したらせん構造を持つオリゴマーの光捕集能、(2)フェロセン構造を軸の片末端に有するロタキサンにおけるシャトリングの制御、並びに(3)ロタキサンのキラル合成、について検討した。 ビナフチル構造を持つオリゴカーボナートの両末端にピレン構造を導入した分子では、ある分子長以上では、ナフタレン部分を励起したにもかかわらず、発光は全てピレンからのものであり、ナフタレン環からピレン環への効率よいエネルギー移動が認められた。さらに、この現象は高分子マトリックス中でも同様に起こり、ガラス転移温度以下の運動性の低い状態でもこの現象が認められたことから、分子間相互作用なしにエネルギー移動が達成されていることが明らかとなった。 安定な酸化還元状態を取ることのできるフェロセン構造を軸末端に持たせたロタキサンを合成し、フェロセンの酸化に伴う輪成分クラウンエーテルのシャトリング挙動を検討した。その結果、クラウンエーテル上の酸素原子からの電荷または電子移動が輪の移動を促進していることが明らかとなった。この結果より、軸末端にあるエンドキャップ基であるフェロセン環の酸化還元により、輪の移動がコントロールできることが示された。また、クラウンエーテルと強い相互作用を持つ二級アンモニウム部位を軸上に持たせた場合には、クラウンエーテルの移動が困難になるために、フェロセンの酸化還元電位がかなり上昇することがわかり、このことも輪のシャトリング挙動を裏付ける結果となった。 中央付近に二級アンモニウム塩構造を持ち、左右非対称な軸成分からなるロタキサンにおいて、アンモニウム部分のアシル化することにより大きなジアステレオ選択性が認められ、光学活性なロタキサンのキラル合成へ道を拓いた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] N.Watanabe, T.Takata, ほか: "Photo-induced Intra-rotaxane Electron Transfer between Zinc Porphyrins and Fullerene[C60] in Benzonitrile"Angew.Chem.Int.Ed.. 42. 681-683 (2003)
-
[Publications] Yoshio Furusho, Toshikazu Takata, ほか: "Dynamic Covalent Approach to[2]- and[3]Rotaxanes by Utilizing the Reversible Thiol-Disulfide Interchange Reaction"Chem.Eur.J.. 9. 2895-2903 (2003)
-
[Publications] Yoshio Furusho, Toshikazu Takata, ほか: "Dynamic Covalent Chemistry in Rotaxane Synthesis. Slipping Approach to[2]Rotaxane Utilizing Reversible Cleavage-Rebondage of Trityl Thioether Linkage"Chem.Lett.. 33. 52-53 (2004)
-
[Publications] 高田十志和: "超分子科学"化学同人(印刷中). (2004)