2002 Fiscal Year Annual Research Report
光熱変換分光法を用いた液液界面ナノ領域における分子集団挙動・分子間相互作用の研究
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13129203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沢田 嗣郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90011105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池添 泰弘 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教務職員 (70334315)
片山 建二 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (00313007)
藤浪 眞紀 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (50311436)
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Keywords | 光熱変換 / 液液界面 / ナノ空間 / 分子間相互作用 / フェムト秒レーザー |
Research Abstract |
本研究の目的は、我々が独自に開発してきた時間分解準弾性レーザー散乱(QELS)法と、フェムト秒高出力レーザーを用いた超高速界面分光法の二つの測定手法を用いて、液液界面ナノ空間に特有な非線形反応や分子間相互作用を観測し、新しい界面物理化学を開拓することである。 QELS法については、時間分解能をこれまでの秒オーダーからミリ秒オーダーまで向上させることも目標の一つである。本年度は、アパランシェフォトダイオードを装置に組み込むととによって感度を上げることに成功した。その結果、これまで取れなかった周波数の高い信号成分を検出することが可能となり、20ミリ秒程度の積算時間で明確な信号を得ることに成功した。本法は、液液(油水)界面における界面活性剤分子の吸着脱離過程の観測に用いた。分子が吸着脱離を繰り返す化学振動現象については、同時に行った電気化学測定の結果と比較することによって、界面不安定性から生じるマランゴニ対流に伴う界面活性剤分子の一斉吸着、油相/水相に含まれる親水/疎水性イオンの界面での交換反応による脱離速度の促進など、振動現象における吸着/脱離各素過程の主要な機構を理解することに成功した。また、逆ミセルの吸着脱離過程においては、平衡状態到達前の過剰吸着現象を発見した。時間分解蛍光測定も行った結果、過剰吸着時に、油水界面近傍で異常に厚みのある油水混合領域の発現が示唆されるような興味深い結果を得た。 超高速界面分光法については、液体界面の低波数振動スペクトルを0-500cm^<-1>程度の周波数領域で測定可能な装置の開発に取組んできた。特に本年度は、検出光学系を過渡格子配置に改良することで信号のバックグラウンドを低減させ、高感度化することを試みた。その結果、従来は信号の取得が困難であった気液(空気/色素水溶液)界面においても測定が可能となり、数10cm^<-1>以下の周波数成分を観測することに成功した。これは液体界面に存在する分子の光電場に対する電子応答や並進運動に関して新たな知見を与えると期待される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yui H, Fujiwara H, Sawada T: "Spectroscopic analysis of total-internal-reflection stimulated Raman Scattering from the air/water interface under the strong focusing condition"Chemical Physics Letters. 360(1-2). 53-58 (2002)