2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13130203
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
金道 浩一 東京大学, 物性研究所, 教授 (20205058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 康雄 大阪大学, 極限科学研究センター, 助手 (50360615)
竹内 徹也 大阪大学, 低温センター, 助手 (90260629)
小林 達生 岡山大学, 理学部, 教授 (80205468)
萩原 政幸 大阪大学, 極限科学研究センター, 教授 (10221491)
坂井 徹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60235116)
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Keywords | 強磁場 / 磁化過程 / 交替磁場 / Cu benzoate / 磁場誘起スピンギャップ / ブリーザーモード / Cu pyrimidine |
Research Abstract |
一次元ハイゼンベルグ型反強磁性体において交替磁場に起因する新しい現象が注目を集めている。Cu benzoateはスピン1/2の一次元ハイゼンベルグ型反強磁性体のモデル物質と考えられてきたが、近年、中性子やESRによって磁場が誘起するスピンギャップやブリーザーモードが観測され、これらが交替磁揚の導入で説明できる事が分かった。本年度の研究は、この磁性体の素励起の問題を強磁場磁化測定によって明らかにすることを目的として行われた。本研究の特長は、大阪大学のパルス強磁場を用いる事により、これまで不可能であった強磁場かつ極低温で飽和に至る全磁化過程を観測した点にある。つまり、系の温度を下げる事により温度効果の磁化への影響を抑制することができ、磁化の本質が現れ、理論との比較が容易になる事が重要である。実際に、単結晶試料のCu benzoateを用いて、各主軸につき約0.1Kの極低温まで測定して得られた強磁場磁化過程は、a軸およびb軸方向に磁場をかけた時にはシャープに飽和するのに対し、c軸の場合では緩やかな飽和となった。この結果は交替磁場を導入して理論的に計算された磁化過程ときわめて良い一致を示した。すなわち、未解明であった磁化のなまりが温度効果によるのではなく、別の相互作用、ここでは交替磁場による影響である事が証明されたのである。この実験結果を基にして、Cu pyrimidineの測定を行ったところ極低温における異方的な磁化のなまりが観測され、Cu pyrimidineがCu benzoateと同様に交替磁場の影響を受けている事が明らかになった。
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Research Products
(6 results)