2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13132206
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 健彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20220957)
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Keywords | アンチセンス / 核酸 / 認識制御 / 機能性核酸 / on-off制御 / ヌクレオシド / ペプチド骨格 / 水素結合 |
Research Abstract |
本研究では外部刺激による可逆的核酸認識能を有するペプチドリボ核酸(PRNA)の開発に取り組んでおり、ホウ酸類等を外部因子としてPRNA核酸塩基部のanti/syn配向が可逆的に制御可能であること、相補的核酸との錯体形成・解離の可逆的制御が可能であることを明らかとしている。本年度はD-グルタミン酸を主鎖骨格にもつPRNAを合成し、主鎖骨格のキラリティーが高次構造、核酸認識制御、錯体安定性に及ぼす影響について検討した。D-およびL-グルタミン酸を主鎖骨格とするPRNA12量体(1,2)の高次構造、塩基部配向制御についてCDスペクトルを用いて検討した。塩基部のフラノース部に対する配向(syn, anti)を反映する270nm付近のモル楕円率([θ]_<ext>)は、1,2ともホウ砂を添加すると効率良くantiからsynに塩基部配向制御出来ることが示された。主鎖骨格に基づく220nm付近の[θ]_<222>は2では正の、1では負のピークを示しL-PRNAは左巻きの、D-PRNAは右巻きの構造を有していることが示唆された。PRNA-DNA錯体およびホウ砂による核酸認識制御に主鎖骨格が与える影響について融解温度(T_m)を指標として検討した。2と相補的d(A)_<12>との錯体のT_mは27℃で、DNA錯体の23℃に比べ高く、安定な錯体形成が示された。一方、1とd(A)_<12>とのT_mは32℃とDNA錯体に比べ9℃、2のT_mより5℃高い値を示し、D-PRNAはL-PRNAに比べDNAとより安定な錯体を形成することが明らかとなった。またホウ砂を添加すると、1とd(A)_<12>とのT_mは4℃以上で観測されず、D-PRNAも外部因子により錯体の形成・解離を制御できることが明らかとなった。次に、塩基特異性を調べるため、ミスマッチを含むDNAに対するT_mを測定した。D-PRNA-DNA錯体のT_mはダブル、シングルミスマッチいずれも4℃以上で観測されず、PRNAはミスマッチに対する感受性が高く塩基特異的にDNAと安定な錯体を形成することが明らかとなった。 以上の結果より、D-PRNAは塩基特異的に安定な錯体を形成し、ホウ砂を外部刺激として塩基部配向制御・核酸認識制御が可能であることを明らかにするとともに、PRNAの主鎖骨格のキラリティーはPRNAの溶液構造ならびにDNAとの錯体構造・安定性に大きく影響することを見出した。
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Research Products
(6 results)