2002 Fiscal Year Annual Research Report
素粒子論および物性理論における場の理論の諸問題の現代的研究
Project/Area Number |
13135201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河本 昇 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50169778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 隆一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30217947)
石川 健三 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90159690)
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Keywords | ヤン・ミルズ理論 / トポロジカルな場の理論 / 非可換積 / 超弦理論 / Dirac-Kaehlerフェルミオン / 量子ホール効果 / ニュートリノ振動 / ストライプ |
Research Abstract |
1.10年程前に河本の提案した般化されたゲージ理論による定式化を量子重力理論、及び統一模型に応用する事によりランダム格子上で定式化する事を目標に研究を進めてきた。(河本) (1)量子化とツイストと超空間の関係を明かにし、トポロジカルな場の理論でこれまで知られていたツイストと言う操作がDirac-Kaehlerフェルミオンの定式化と本質的に同等である事を明らかにする超対称空間の新しい定式化を発見した。二次元のN=2の定式化を四次元のN=4の超対称ヤングミルズ理論に拡張した。 (2)2次元量子重力で物質場の作用する場合のフラクタル次元に対しての依存性を数値的に計算した。その結果フラクタル次元が我々が解析的に計算したフラクタル次元と一致していることを明かにした。 (3)我々は格子上で定義されるカップ積の新しい定式化を発見した。またこの定式化と格子上のカイラル変換との関係も明らかになった。 2.量子ホール効果とニュートリノ振動について場の理論に基ずく研究が進展した。(石川) (1)特異的な多くの量子現象が発現している強磁場中の2次元電子系(量子ホール系)の物理を理論的に解明することを目的に、平行移動対称性や回転対称性を破る多体状態についての理論的研究が進展した。高いランダウ準位で観測された非等方的な抵抗を示す圧縮性ガス状態に対する最有力な候補とみなされているストライプ状の構造を持つ平均場多体状態の方向について、資料に付随していると思われる小さな外部ポテンシャルの影響でこの非等方的な状態の向きがどのように決まるのかを解明した。磁場の為に、外部周期ポテンシャルと直行する方向にストライプが向くという直感とは反する興味深い結果がえられた。さらに、磁場中におけるゴールドストンの定理と南部-ゴールドストンモードの性質が解明され、このモードが電荷相関関数の長波長極限に与える効果が求められた。よってKohnの定理との関連が明らかにされた。 (2)ニュートリノ振動について場の理論に基ずき直接観測される粒子間の振幅が求められ、完全な平面波の場合には通常行われる一体問題的な取り扱いとは異なる結果が得られることが示された。 3.超弦理論では、弦同士の相互作用は弦の結合の順序により結果が異なる「非可換性」という特徴的な性質を持ち、低エネルギー有効理論にも弦の端点の座標の非可換性という形でその特徴が残る。閉じていて曲がった空間の例として2次元の球面を考え、球面上の代数を表現する座標の非可換積を考えた。その結果2種類の非可換積があること、数学的には異なる2種類の非可換積は同じ力学系を記述できるが、一方の積の方がサイバーグ・ウィッテン写像などの低エネルギー有効理論の解析に適していることを示した。(中山)
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[Publications] N.Kawamoto, K.Yotsuji: "NUMERICAL STUDY FOR THE C DEPENDENCE OF FRACTAL DIMENSION IN TWO-DIMENSIONAL QUANTUM GRAVITY"Nuclear Physics. B644・. 533-567 (2002)
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[Publications] T.Aoyama, K.Ishikawa, N.Maeda: "Optimal orientation of striped states in the quantum Hall system against external modulations"European Physics Letters. 59・. 444-450 (2002)
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[Publications] T.Aoyama, K.Ishikawa, Y.Ishizuka, N.Maeda: "Energy Spectrum of neutral collective excitations in striped Hall states"Physical Review. B66・. 155319 (2002)
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[Publications] T.Yabuki, K.Ishikawa: "Neutrono Oscillations in the intermediate states : (I) Plane Waves"Progress of Theoretical Physics. 108・. 347-362 (2002)
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[Publications] K.Hayasaka, R.Nakayama, Y.Takaya: "A new noncommutative product on the fuzzy two-sphere corresponding to the unitary representation of SU(2) and the Seiberg-Witten map"Physics Letters. B553・1-2巻. 109-118 (2003)