2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13135208
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
細谷 暁夫 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (80028258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 秀樹 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (80183739)
伊藤 克司 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (60221769)
白水 徹也 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (10282716)
綿引 芳之 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (40212328)
椎野 克 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (50313325)
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Keywords | 超弦理論 / ブレーン宇宙 / 量子重力 / ブラックホール / 非可換幾何 |
Research Abstract |
石原は無限遠が4次元Minkowski時空上の非自明なファイバーバンドル構造をもつような5次元ブラックホール時空をEinstein-Maxwell系の解として構成した.この解は,地平線が歪んだ3次元球面の構造をもつ.また,ユークリッド化された4次元Taub-NUT解とEguchi-Hanson解の上の多体ブラックホール解を構成することに成功した.この解では,レンズ空間のトポロジーをもったブラックホール地平線が許されることが明らかになった.さらに,ブラックホールの合体過程で地平線のトポロジーが変化する解を具体的に示した.白水はブレーン衝突による熱い宇宙の創生シナリオが注目を浴びているが、その衝突過程の直前直後を記述する有効理論の構築を行った。また、Gauss-Bonnet項による高エネルギー補正の影響、ドジッターブレーンに関するエンタングルメントエントロピーの評価を行った。一方で、LHCで期待されるブラックホール生成を念頭に、より現実的な初期データの数値的研究を行い、放出される重力波等について定量的評価を行った。伊藤は超弦理論におけるDプレーン上の低エネルギー有効理論である超対称ゲージ理論へのR-R背景場による効果について、場の理論および弦理論の見地から研究を行った.R-R背景場の中で特に重力光子による背景場は,Dブレーンの世界超空間上において非反可換性として現れる.N=2超対称ゲージ理論において非反可換性の効果が超対称代数の変更として現れることを始めて示した。さらにN=2およびN=4超対称ゲージ理論の重力光子背景場による変形効果を超弦理論により計算し,最低次で非反可換超空間の計算と一致することを示した。またR-R背景場を分類し非半可換超空間で表せない変形が存在することを示した。綿引は2次元格子重力理論において、Euclid計量による通常のDynamical Triangulation(Euclid重力)と因果律を満たすように構築されたMinkowski計量によるDynamical Triangulation(Lorentz重力)を比較する研究を行った。その結果、Lorentz重力においてストリップと同相なトポロジーを持つある振幅がEuclid重力のシリンダーに同相なトポロジーを持つ振幅と等価になることがわかった。また、背景次元として10+2次元を持つ超弦理論の研究では、基本場は弦ではなく、membraneのような高次元の構造を持つものが基本場となることがわかった。非可換幾何学の近年の発展の中でその理論物理、特に量子重力への応用が重要になりつつある。主たる方向性としてはWessらの変形代数による非可換微分幾何学と、Connesらの提唱したSpectral gravityの方向が進展している。椎野はConnesの公理にしたがって一般相対論の代数化を行っている。特に本年度においては、代数上での量子化のスキームを与え代数重力の量子化を行った。重力子の伝播は背景時空の離散化によって影響を受けることが明らかになった。細谷は、相対論で使われる幾何学的な概念が、量子情報処理に使えるという普通とは逆向きの研究を行った。それによれば、量子操作に要する時間を最小にする時間に依存したハミルトニアンと最速時間を計算する一般的な方法が与えられた。
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Research Products
(14 results)