2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13135216
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 純 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (30130876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 正典 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00168874)
小平 治郎 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40127080)
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Keywords | 場の量子論 / 非摂動的解 / 摂動論 / 強結合 / QCD |
Research Abstract |
近年の米国RHIC加速器で相転移温度を超えるQCD物質が生成されていることが強く示唆されており、新QCD物質の確証のためにはその性質を明らかにしなければならない。中村は、グルーオン物質の輸送系数をエントロピーの比として計算したQCDに基づく最初の計算であり、強く結合するグルーオン系は、相転移温度より上でも非常に小さな輸送係数を持つことが明らかになった。これは現象論的な流体モデルがなぜ成功しているかの理論的説明を与えるもので、今後のRHICの解析に大きな影響を与える。また、これまでの自由なクォーク・グルーオン・ガスという描像に大きな修正をせまる。中村は、さらに相転移より上のRHICエネルギー領域での重クォーク間ポテンシャルを計算した。これはRHICで生成されているグルーオン物質の中で、クォークがどのような振る舞いをするかの第一歩となり強結合系の新しい研究への道となる。 以上の研究は、ダイナミカル・クォークを無視するクェンチ近似での計算であるが、最終的なQCDによる定量的な計算のためには、u, d, sダイナミカル・クォークの影響を明らかにしていく必要がある。大川は、KEK, CP-PACS、地球シミュレータを使ってダイナミカル・クォーク入りのハドロンの質量の信頼度の高い計算を進めている。2フレーバーの導入で、これまでクェンチ近似で見られたハドロンのスペクトルスコピーのズレは大きく改善され、さらに2+1フレーバーの計算が進んでいる。 B中間子のセミレプトニック崩壊は、弱電磁パラメータの決定、新物理の探索に重要な情報を与える。通常は演算子積展開によりパートン描像が基礎付けられるが、小平は、これをさらに進め、QCD運動方程式と重クォーク対称性から重局所演算子に対する制限を調べ、B中間子中のbクォークのエネルギー分布に関する知見を得た。
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Research Products
(7 results)