2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13135216
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 純 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (30130876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 正典 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (00168874)
小平 治郎 高エネルギー加速器研究機構, 理論部, 教授 (40127080)
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Keywords | 場の量子論 / 非摂動的解 / 摂動論 / 強結合 / QCD |
Research Abstract |
今年度も、強く相互作用する系であるQCD(量子色力学)を対象に、摂動、非摂動の両観点から研究を進めた。 重いクォーク極限では、B中間子の包含崩壊が形状関数と呼ばれる一般的な関数で決定される。 小平は、この形状関数に対する双局所演算子についての制限を、QCDの運動方程式と重クォーク対称性から得ることに成功した。この非局所的演算子は、B中間子中のbクォークの運動エネルギー分布に対応する。 大川は、JLQCD、CP-PACS共同研究を進め、格子QCDの大規模数値シミュレーションにより、パイ中間子の散乱振幅の情報、中性子の電気2重モーメントなどを調べ、また現実の世界に対応する2+1フレーバー(軽いu,dクォークとsクォーク)の力学的クォークの影響を取り入れたシミュレーションで、軽いハドロンの質量の研究を行った。 中村は、格子QCDのシミュレーションにより、有限温度、有限密度の状態について研究を行った。まず、クェンチ近似の下で、有限温度のグルーオン系の輸送係数を求めることに成功した。RHICでの実験では閉じ込めが破れた状態が実現しているのではないかと考えられているが、実験の解析は粘性係数がゼロである完全流体がよいことを示している。中村の計算では粘性係数とエントロピーの比が0.1のオーダーであり、この現象論の解析と矛盾しない。 また、中村はQCD-TARO共同研究において、中間子、核子の遮蔽質量の化学ポテンシャル依存性を調べるために、その微分の計算を行った。定式化はすでに完成していたが、大規模数値計算を勧めることにより、軽い領域を含む3つのクォーク質量で計算を行い、カイラル極限を取ることに成功した。状態が閉じ込め相にあるか、非閉じ込め相にあるかは、温度だけでなくクォーク質量にも依存するため、この極限は慎重に取る必要があることがあきらかになった。
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Research Products
(11 results)