2002 Fiscal Year Annual Research Report
赤道大気レーダー長期連続観測による赤道大気波動の解明
Project/Area Number |
13136204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 衛 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 助教授 (20210560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 真之 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 助手 (90346073)
深尾 昌一郎 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 教授 (30026249)
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Keywords | 赤道大気レーダー / 赤道大気力学 / 長期連続観測 / 大気波動 |
Research Abstract |
本研究は、赤道大気レーダー(Equatorial Atmosphere Radar ; EAR)の長期連続観測を実施することによって、赤道大気力学の総合的理解を一気に深めることを目的としている。本研究で取得・蓄積される観測データは、赤道大気力学に関する、他の手段によっては決して得ることのできない貴重なデータであり、将来の関連研究にとっても貴重な財産である。平成14年度には以下の研究を実施し、国際論文誌への投稿論文3編が受理された。 1.赤道大気レーダーの長期連続観測:EARによる赤道大気の長期連続観測を実施した。観測モードは主として対流圏・下部熱圏を対象とし、適宜切替えを実施した。特に10〜11月には電離圏イレギュラリティの集中観測によって、低緯度イレギュラリティの東西伝搬特性や背景電離圏との関係を明らかにした。また長期連続運転によるレーダー部品の損耗に対処するため、消耗品の購入等を進めた。 2.赤道大気波動の観測的研究:EAR長期連続観測の結果をもとに、赤道大気の振動と波動について研究を進め、対流圏と成層圏の境界(対流圏界面)で大気上下結合に重要な役割を果たすとされる赤道ケルビン波が不安定(砕波)となる過程が捉えられた。また、対流圏界面において準定常的に風シアによる不安定現象で薄層乱流が発生していることが明らかにされ、上下結合への寄与が注目されている。 3.新しい観測法の開発:レーダー周波数をわずかに変化させて測定する位相情報からレーダーの距離分解能を向上する周波数領域干渉計観測法を赤道大気レーダーに適用し、大気乱流の薄層構造のより優れた観測法を開発した。 4.衛星データネットワークの維持管理:EAR観測所と京都大学宙空電波科学研究センター間の衛星通信ネットワークを引き続き維持する一方、その利用法として、観測データが準リアルタイムに日本に転送されるシステムを構築した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Fujiwara, M.K.Yamamoto 他3名: "Turbulence at the tropopause due to breaking Kelvin waves observed by the equatorial atmosphere radar"Geophysical Research Letter. (印刷中). (2003)
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[Publications] S.Fukao, H.Hashiguchi 他7名: "The Equatorial Atmosphere Radar (EAR) : System description and first results"Radio Science. (印刷中). (2003)
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[Publications] M.K.Yamamoto, M.Fujiwara 他3名: "Kelvin-Helmholtz instability around the tropical tropopause observed with the Equatorial Atmosphere Radar"Geophysical Research Letter. (印刷中). (2003)
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[Publications] J.-I.Hamada, S.Fukao 他4名: "Spatial and Temporal Variations of the Rainy Season over Indonesia and their Link to ENSO"Journal of Meteorological Society of Japan. 80・2. 285-310 (2002)
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[Publications] H.Luce, S.Fukao 他2名: "Strong Mixing Events Observed with MU Radar and High-Resolution Balloon Techniques"Journal of Atmospheric Sciences. 59・20. 2885-2896 (2002)
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[Publications] M.K.Yamamoto, S.Fukao 他3名: "Development of a Transportable 3-GHz Wind Profiler for Wind and Precipitation Studies"Journal of Meteorological Society of Japan. 80・2. 273-283 (2002)