2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13136205
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 亨 京都大学, 情報学研究科, 教授 (60162450)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 泰之 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (30181572)
|
Keywords | 赤道レーダー / 大気観測 / レーダー信号処理 / クラッター抑圧 / アダプティブアンテナ |
Research Abstract |
本研究は、インドネシアのスマトラ島に、京都大学宙空電波科学研究センターが建設した赤道大気レーダー装置(EAR)を中核とし、従来の手法を用いた単独のレーダーによる観測の限界を越えた高度な利用技術を開発し、EARの価値を飛躍的に高めることを目的とする。今年度の主要な成果は以下の通りである。 1.赤道大気レーダーのマルチスタティック化による高機能化 本研究では、EARの近傍に、個々の受信アンテナに信号処理装置を付加したディジタルビームフォーミング方式による受信専用のサブアレイを2箇所設置し、マルチスタティック観測が可能となるよう、システムを拡張した。今年度は、昨年度に構築した八木アンテナ20素子およびディジタル受信機ボード10枚からなるディジタル受信アレイ受信システムを増強・改良した。特にアダプティブクラッタ抑圧のために、クラッタ信号受信専用アンテナを開発し、これを加えてアレイの規模を32素子(16素子×2サイト)に拡大した。2005年11月〜12月に赤道大気レーダー観測所における約3週間の連続観測を行った。この結果に基づき、対流雲の発達過程における3次元風速場構造の詳細な解析を進めている。 2.近距離降雨・乱流空間相関の観測 赤道大気レーダー観測所と京都大学生存圏研究所を結ぶ衛星通信回線の信号強度を高い時間分解能で連続的にモニターすることにより、降雨減衰および対流圏シンチレーションに伴う受信レベル変動を観測した。これと赤道大気レーダーならびに降雨レーダー等の周辺観測装置のデータを統合し、赤道大気の近距離における降雨・乱流空間相関特性を多角的に計測した。これにより赤道域に固有の微細構造の詳細な研究を進めている。今年度は、さらに赤道レーダー観測所に高精度雨滴粒径分布解析装置を設置し、降雨粒径分布と降雨減衰の関係を連続的に計測し、降雨距離相関特性への影響を定量的に評価した。
|
Research Products
(3 results)