2002 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞による免疫自己寛容維持機構の解析とその機能操作による自己免疫の修復
Project/Area Number |
13140203
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂口 志文 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30280770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 直子 東京理科大学, 生命科学研究所, 助教授 (90222166)
高橋 武司 京都大学, 再生医科学研究所, 助手 (80335215)
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Keywords | 病理学 / 免疫学 |
Research Abstract |
制御性T細胞の発生・分化あるいは機能の分子メカニズムについて、昨年度に引き続き研究を進め以下の研究結果を得た。 (1)IPEX(immune dysregulation, polyendocrinopathy, enteropathy, X-linked syndrome)と呼ばれる自己免疫疾患の原因遺伝子で、転写因子をコードするFoxp3遺伝子が、正常個体に存在するCD25+CD4+制御性T細胞に特異的に発現していることを発見した。さらに、レトロウイルスを用いてFoxp3遺伝子を通常のナイーブT細胞に遺伝子導入すると、導入されたT細胞は制御性T細胞と同様の表現型と機能を発現し、生体内においても自己免疫病および炎症性腸炎の発症を抑制した。この結果は、Foxp3遺伝子は制御性T細胞の分化を制御するマスター制御遺伝子であることを示しており、制御性T細胞の分化・機能の異常がヒトの自己免疫疾患の発症につながることを示唆している。 (2)当研究室で作製した抗GITR抗体を用いて、腫瘍細胞あるいは移植臓器の拒絶に及ぼす効果を検討した。同抗体の投与は、制御性T細胞およびエフェクターT細胞のどちらにも働き、腫瘍の拒絶を促進した。移植片に対しては拒絶を促進した。この結果は、GITR分子の操作は、腫瘍免疫の惹起、移植免疫の制御に重要であることを意味する。 (3)単一ペプチド/MHC複合体を発現するトランスジェニックマウスを用いて、CD25+CD4+制御性T細胞の胸腺での選択機構、TCRレパトアについて解析した。その結果、胸腺に発現した単一ペプチド/MHC複合体は、広いレパトアを持つ制御性T細胞を選択できるとの結果を得た。また、そのレパトアは、他のT細胞に比べてより自己反応性の高いものであった。この高自己反応性は、制御性T細胞が自己反応性T細胞を制御する上で有利に働くと考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shimon Sakaguchi: "Control of immune responses by naturally arising CD4+ regulatory T cells that Express toll-like receptors"Journal of Expermental Medicine. 197. 397-401 (2003)
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[Publications] Syohei Hori, Takashi Nomura, Shimon Sakaguchi: "Control of regulatory T Cell development by the transcription factor FOXP3"Science. 299. 1057-1061 (2003)
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[Publications] Shimon Sakaguchi: "Regulatory T cells : mediating compromises between host and parasite"Nature Immnolgy. 4. 10-11 (2003)
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[Publications] Shimon Sakaguchi: "Immunologic tolerance maintained by regulatory T cells : Implications for Autoimmunity, tumor immunity and transplantation toleranc"Vox Sanguinis. 83. S151-S153 (2002)
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[Publications] Awen Gallimore, Shimon Sakaguchi: "Regulation of tumour immunity by CD25 + T cells"Immunology. 107. 5-9 (2002)
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[Publications] Jun Shimizu, Sayuri Yamazaki, Takeshi Takahashi, Yasumasa Ishida, Shimon Sakaguchi: "Stimulation of CD25+CD4+ regulatory T cells through GITR breaks immunological self-tolerance"Nature Immunology. 3. 135-142 (2002)