2002 Fiscal Year Annual Research Report
自己反応性B細胞の寛容破綻に関わる遺伝的機構とその制御
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13140205
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
広瀬 幸子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (00127127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和裕 順天堂大学, 医学部, 助手 (10327835)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 感受性遺伝子 / 遺伝子多型 / 自己感応性B細胞 / 連鎖解析 / 制御領域多型 / gain-of-function型多型 |
Research Abstract |
自己免疫疾患の発症には、免疫応答の調節に関わる複数の感受性遺伝子が関与している。抗体依存性自己免疫疾患における自己反応性B細胞の出現の原因を遺伝的に解析することで、二次的現象でなく、B細胞免疫寛容破綻の原因を捉えることができる。この目的のため、全身性エリテマトーデス(SLE)自然発症モデルマウス系を用いた遺伝的解析により、現在までに自己反応性B細胞出現に働く複数の染色体領域をマップしている。その中で、特に今年度は、第1染色体テロメアのFcgr2b遺伝子領域および第2染色体上のLtk遺伝子領域の候補遺伝子解析を行った。結果として、Fcgr2b遺伝子およびLtk遺伝子の各々制御領域および構造遺伝子多型を見出し、この多型による自己反応性B細胞の異常増殖・分化の機構解析を行った。 1.Fcgr2b遺伝子制御領域多型:Fcgr2b遺伝子産物であるFcγRIIB1分子はB細胞上に発現するB細胞活性化抑制分子であり、SLE-proneマウス系には共通してFcgr2bプロモーター領域にいくつかの塩基欠損を伴う多型が存在することを発見した。この多型部位には、転写因子Ap-4結合部位が存在し、その欠損により活性化B細胞上のFcγRIIB1分子の発現レベルの抑制ならびにIgG抗体応答の亢進が引き起こされると考えられた。 2.Ltk構造遺伝子多型:Ltkは、模型PTKで、SLE-prone NZBマウスおよびヒトSLEの約8%の患者にkinase domainのp85結合領域近傍のアミノ酸置換を伴うSNPの存在を明らかにした。In vitroの解析から、これらは、kinase活性の増強、p85結合能の亢進を介してPI3K経路を活性化し、細胞の増殖亢進に働くgain-of-function型多型であることが示唆された。 現在、以上の各々の多型部位の機能をin vivoで確認するため、多型部位を入れ替えたマウス系を作製中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Miyamoto A, et al.: "Increased proliferation of B cells and auto-immunity in mice lacking protein kinase Cδ"Nature. 416. 865-869 (2002)
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[Publications] Miura-Shimura Y, et al.: "Clq regulatory region polymorphism down-regulating murine Clq protein levels with linkage to lupus nephritis"J.Immunol.. 169. 1334-1339 (2002)
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[Publications] XieY, et al.: "Transcriptional regulation of Fcgr2b gene by polymorphic promoter region and its contribution to humoral immune responses"J.Immunol.. 169. 4340-4346 (2002)
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[Publications] Iwai H, et al.: "Amelioration of collagen-induced arthritis by brokade of inducible costimulator-b7 homologous protein costimulation"J.Immunol.. 169. 4332-4339 (2002)
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[Publications] Shirai T, et al.: "Genome screening for susceptibility loci in systemic lupus erythematosus"Am.J.Pharmacogenomics. 2. 1-12 (2002)
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[Publications] Hirose S, et al.: "Genetic basis of systemic lupus erythematosus"Drugs of Today. 38. 167-184 (2002)