2004 Fiscal Year Annual Research Report
自己反応性B細胞の寛容破綻に係わる遺伝的機構とその制御
Project/Area Number |
13140205
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
広瀬 幸子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (00127127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和裕 順天堂大学, 医学部, 助手 (10327835)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / New Zealandマウス / 感受性遺伝子 / 遺伝子多型 / FcγRIIB / LTK / PI3 kinase / 主要組織適合遺伝子複合体 |
Research Abstract |
自己免疫疾患発症には、免疫応答調節に関わる複数の感受性遺伝子が関与している。抗体依存性自己免疫疾患における自己反応性B細胞の出現の原因を遺伝的に解析することで、B細胞免疫寛容破綻の原因を捉えられる。全身性エリテマトーデス(SLE)自然発症マウス系を用いた遺伝的解析により、第1染色体上のFcgr2b遺伝子のプロモーター多型、第2染色体上のLtk遺伝子のkinase domain多型、第17染色体上の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の多型が自己反応性B細胞の出現と活性化に働くことを明らかにした。 1.Fcgr2b遺伝子プロモーター領域多型:SLEマウス系には共通して、B細胞機能抑制分子FcγRIIB1をコードする遺伝子Fcgr2bのプロモーター領域に転写因子Ap-4結合部位の欠損を伴う多型が存在し、そのため活性化B細胞上のFcγRIIB1分子の発現レベルの抑制ならびにIgG抗体応答の亢進が引き起こされる。SLEマウスのFcgr2b遺伝子を正常マウス型に入れ替えることで疾患を抑制できた。 2.Ltk遺伝子kinase domain多型:B前駆細胞に発現している膜型PTKであるLtkのkinase domainのp85結合領域近傍のアミノ酸置換を伴うSNPが、NZBマウスおよびヒトSLEの約8%の患者に存在し、このためkinase活性の増強、p85結合能の亢進によるPI3K経路の活性化により、B細胞の増殖亢進に働く可能性を得た。現在、B細胞特異的にLTKを高発現するTGマウスを樹立し、B細胞分化への影響を解析中。 3.MHCクラスII領域には、自己反応性B細胞の活性および抑制に働く部位が存在することを、recombinant congenicマウス系の樹立により明らかにした。また、MHC多型により、SLE病態がリウマチ様病態に変換する可能性を得た。
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Research Products
(5 results)