2003 Fiscal Year Annual Research Report
動物体細胞を使った逆遺伝子によるDNA組み換え、修復、複製の系統的解析
Project/Area Number |
13141202
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
園田 英一朗 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50281093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 治夫 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (10127061)
榎本 武美 東北大学, 薬学研究科, 教授 (80107383)
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Keywords | ニワトリDT40 / 相同組換え / 損傷乗り越え修復 / 複製フォーク停止 / WRNヘリカーゼ / ポリメラーゼkappa / Rev3 / WRNIPI1 |
Research Abstract |
園田は、ニワトリDT40細胞株を用い、相同組換え(HR)と損傷乗り越え修復(TLS)を同時に欠損した株(ΔRad54/ΔRad18,ΔRad54/ΔRev3)を作成し、これらの株が染色体断裂を多発して死亡することを見いだした。すなわち、HRとTLSは、互いにオーバーラップしながら、細胞内でたえず発生している複製停止からの複製再開に必須の働きをしていることを解明した。これは動物細胞に特有な現象である。 榎本は、Werner症候群原因遺伝子産物(WRN)と結合するWRNIP1を発見して解析を行い、WRNIP1が多量体を形成してWRNと結合すること、両者の結合にはATPが必要であるが、ATPを要求するのはWRNIP1であることを明らかにした。また、酵母を用いた解析により、WRNIP1(Mgs1)や、TLSに関わるRad18やMms2がDNAポリメラーゼδと機能的関連をもつことを見いだした。さらに、このWRNIP1、WRN、Rad18の機能的関連をDT40細胞の遺伝子破壊株を作製して解析をおこなった。カンプトテシンによるDNAの傷害では、Rad18経路が中心的役割を担い、Rad18及びWRNIP1はWRNとは別の経路で働くことが明らかになった。一方、酵母を用いた解析からWRNIP1はRad18とMms2が関与する鋳型スイッチ機構と平行した経路で機能すること、WRNは相同組換え経路で機能することが示唆された。 大森は、TLS polymeraseの一つである、Polκによる損傷バイパスのメカニズムを解析し、Polκはin vitroの反応においてベンゾピレン(BaP)がグアニンに付加したような損傷を効率良く、またほぼ誤り無くバイパスすることを発見した。しかも、生体内ではBaPなどの多環状芳香族炭化水素化合物を投与するとその発現が誘導される。このような結果から、PolκがBaPなどによるDNA損傷に対応する応答において重要な役割を担っていると考えられた。このことを更に追求するために、Polκを欠損したマウス個体やES細胞株を作製した。Polκ欠損マウスES細胞株はBaPに対して感受性を示し、また高頻度で突然変異を発生することを明らかにした。 このように我々は、酵母から共通に見られる現象を動物細胞で確認したのみならず、マウスやニワトリなど動物細胞に特有な現象を発見した。すなわち動物細胞では複製中のフォーク停止は致死的であり、細胞はそれを乗り越えるために種々のオーバーラップする機構をそなえて複製フォーク停止を回避していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hochegger, H., Sonoda E,.Takeda, S.: "Post-replication repair in DT40 cells : translesion polymerases versus recombinases"Bioessays. 26. 151-158 (2004)
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[Publications] Vagnarelli, P.Morrison, C.Dodson, H.Sonoda, E.Takeda, et al.: "Analysis of Scc1-deficient cells defines a key metaphase role of vertebrate cohesin in linking sister kinetochores"EMBO Rep. 5. 167-171 (2004)
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[Publications] Sonoda, E., Okada, T., Zhao, G., Y.Tateishi, S.Araki, K.Yamaizumi, et al.: "Multiple roles of Rev3, the catalytic subunit of polzeta in maintaining genome stabiliiy in vertebrates"Embo J. 22. 3188-3197 (2003)
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[Publications] Yu, D.S., Sonoda, E., Takeda, S., Huang, C.L.Pellegrini, et al.: "Dynamic control of Rad51 recombinase by self-association and interaction with BRCA2"Mol Cell. 12. 1029-1041 (2003)
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[Publications] Morrison, C., Vagnarelli, P., Sonoda, E,.Takeda, S., Earnshaw, W.C.: "Sister chromatid cohesion and genome stability in vertebrate cells"Biochem Soc Trans. 31. 263-265 (2003)