2003 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド輸送体の構造と制御・作動機構および生理機能の解明
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13142206
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 正知 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (80190297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 綾子 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (90272484)
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Keywords | プロテオーム / ペプチド / 輸送体 / TAPL / MAT-8 / ナノバイオ / 薬学 |
Research Abstract |
(1)TAPLの発現系構築:TAPLの生化学的、構造的知見を得るため、大腸菌、酵母、昆虫・哺乳類培養細胞における発現系を構築した。昆虫培養細胞にヒトやラットTAPLを発現させ、膜画分から可溶化後ATP及びADPアガロースを用いヌクレオチド結合の特異性やMg^<2+>依存性を明らかにした。Pループの変異体では、ATP結合能が消失していた。線虫TAPLホモログ(CE1)のABC領域を大腸菌に発現させ、結晶化に向けて大量の部分精製標品を得た。酵母の膜画分へヒトTAPLやMDRを安定発現させ、酵母の増殖を指標に種々薬剤等の排出活性を細胞レベルで評価する系を確立した。 (2)TAPLの細胞内局在と2量体形成:異なる自家蛍光タンパクを融合したTAP(1,2)とTAPLを培養細胞に発現させて蛍光パターンを比較し、TAPLはホモ2量体及びTAP1,2とヘテロ2量体を形成し得ることを見出した。膜系への局在と2量体形成には、膜貫通領域のうちでもN末側が重要であった。蛍光タンパク融合型TAPLは小胞体とリソゾームに存在した。昆虫細胞に発現させたTAPLも同様の局在を示した。 (3)TAPLの構造多様性と生理機能解析:TAPLの遺伝子やmRNAを解析し、ヒトで3種、ラットで4種のC末の異なるアイソフォームがスプライシングで生じることを示した。ヒトでは、個人間でアイソフォームの発現量に差がみられた。無脊椎動物の線虫には3種のTAPLホモログ遺伝子(CE1〜3)が存在した。個体レベルでの解析に向けて、5'上流を含む遺伝子全長(CE1,CE3)をクローニングし、GFP遺伝子を連結した発現プラスミドを構築した。 (4)Mat-8の機能解析:自家蛍光蛋白を融合したMat8が安定に発現するCHO-K1細胞株を構築し、局在部位を検討したところ、小胞体の新たなミクロドメインに集積している可能性を見い出した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ayako Kobayashi et al.: "Gene organization of human transporter associated with antigen processing-like (TAPL,ABCB9) : analysis of alternative splicing variants and promoter activity."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 309. 815-822 (2003)
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[Publications] Yoko Yamaguchi et al.: "The carboxyl terminal sequence of rat transporter associated with antigen processing (TAP)-like (ABCB9) is heterogeneous due to splicing of its mRNA."Biol.Pharm.Bull.. 27. 100-104 (2004)
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[Publications] 孫-和田戈虹ら(分担): "ポストシークエンスタンパク質実験法(4)、構造機能解析の実際"東京化学同人. 17 (2003)