2005 Fiscal Year Annual Research Report
ATP加水分解共役型排出ポンプの分子構造と機能制御
Project/Area Number |
13142208
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 守正 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (20220965)
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Keywords | ABC膜タンパク質 / 排出ポンプ / キメラタンパク質 / 基質親和性 / 大腸がんリスク / ABCC2 / ABCB1 |
Research Abstract |
ATP加水分解共役型排出ポンプの構造に基づく機能制御を明らかにし、その破綻による疾病の病態解析を行う事を目的に、以下の実績を上げた。 【1】基質認識機構:ABC膜タンパク質ファミリー間でのキメラタンパク質を構築し解析した結果、基質親和性の決定には、基質結合部位そのものではなく、N端のMSD1ドメインが関与していることを明らかにした。さらに、MSD1が基質結合そのものに関与するか否かを光親和性ラベル法により明らかにするための構築体作製と発現条件の最適化を終了した。 【2】細胞内の仕分け局在機構:ABC膜タンパク質の形質膜へのアンカリングには、PDZドメインタンパク質がC末端に作用することが重要であると報告されている。 しかしながら、apical-basolateralの仕分け機構に関しては全く未解明であった。 本研究では、ABCC1/ABCC2キメラタンパク質の構築と解析により、MSD2(2つ目の膜貫通ドメイン)および周辺領域が関与することを明らかにした。 【3】相互作用タンパク質による機能修飾:酵母ツーハイブリッド法によりABCC2蛋白質の機能修飾蛋白質を検索した。全長cDNAをbaitとして用いて、シャペロンなどの、タンパク質成熟に関与する候補蛋白質を同定し、細胞質ドメインのみからなるbaitを用いて、プロテアソーム構成タンパク質や転写因子を含む機能修飾蛋白質候補を同定した。 【4】生理機能の多様性と機能制御の破綻による疾病の解析:遺伝子欠損マウスモデルの病態解析と九州北部コホートを対象とした大腸がんの症例対照研究によって、ABCB1が腸管腫瘍形成に関与するという予想外の結果を得、ABC膜タンパク質の新しい生理機能として、細胞の増殖と生存における役割を提示した。さらに、分子疫学解析によりABCB1は大腸性潰瘍炎やクローン病などの炎症性腸疾患にも関与しているという結果を得た。
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Research Products
(1 results)