2005 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤排出トランスポーターの分子・原子構造と作動機構
Project/Area Number |
13142209
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中江 太治 東海大学, 総合医学研究所, 教授 (50102851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
良原 栄策 東海大学, 医学部, 助教授 (70167063)
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Keywords | 薬剤耐性 / 排出ポンプ / トランスポーター / 抗生物質・異物 / 細菌 / 緑膿菌 / 膜蛋白 / 細胞膜 |
Research Abstract |
免疫力の低下した患者に頻繁に感染し、その生命を脅かす緑膿菌は複数の薬剤・異物などを細胞外に排出するポンプを発現する。緑膿菌の排出ポンプのうちMexAB-OprMポンプはその主役を果たすものである。MexAB-OprMポンプは内膜貫通MexB,外膜貫通OprM及びそれらをつなぐペリプラズム蛋白MexAからなっている。本研究ではこの医学的に重要な排出ポンプの構造及び作動機序を明らかにすることによって薬剤排出による多剤耐性の克服に寄与する事を目的したものでる。(i)ポンプの能動輸送の本体であるMexBのX-線結晶構造を明らかとするためには大量の精製MexBを必要とするが、この蛋白は通常緑膿菌で発現したのでは約0.1mg/L程度しか得られない。そこでMexオペロンのプロモーターなどに遺伝子操作を加えることによって約5mg/L程度を得ることができるようになった。これから得られた蛋白を基に良質の結晶が得られ現在構造解析が進行中である。(ii)緑膿菌の排出ポンプは親水性基質のほかに有機溶媒なども輸送する。そこで有機溶媒などの疎水性基質の認識部位を特定化するため溶媒を輸送するMexBと溶媒輸送能が低いMexYとの雑種蛋白を作った。その結果、有機溶媒などの疎水性基質は輸送体のペリプラズムドメインで認識されていることが明らかとなった。(iii)三成分からなるMexAB-OprMポンプはその機能を発揮するためにこれらのサブユニットが相互に会合することが必須である。そこでMexAのOprMサブユニットとの会合部位を特定化するためにMexAから外膜サブユニット選択性が変化した変異株を分離した。4個の変異株全てにQ116R変異が見いだされた。この変異はMexAのcoiled-coilドメインに位置していた。このような結果は将来排出ポンプ阻害剤の開発に必ずや貢献するものと信ずる。
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Research Products
(5 results)