2002 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の液性及び細胞性生体防御反応におけるプロテアーゼカスケードの役割
Project/Area Number |
13143201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
芦田 正明 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50012422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 正則 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10241382)
早川 洋一 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50164926)
片桐 千仭 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (90002245)
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Keywords | 自然免疫 / フェノール酸化酵素 / リポフォリン / サイトカイン / growth blocking peptide / プロテアーゼ カスケード / ペプチドグリカン / ペプチドグリカン認識タンパク |
Research Abstract |
本年度の研究実績は下記の4項目に要約される。 1.フェノール酸化酵素前駆体は活性化されてフェノール酸化酵素(PO)になると、バクテリア、カビ、ガラスなど様々の物に対して接着性を示す。この接着性の原因となる可能性の高いと考えられるPO分子のポリペプチド領域を特定した。その領域は両親媒性のα-ヘリックス構造をとることが推定された。 2.リポホリンの構造モデルをX線小角散乱解析から構築した。リポホリン溶液の溶媒の密度を変化させるコントラスト変調法により得られた散乱像をDummy Atom Modelingという手法でシミュレーションして、構造モデルを得た。これは従来の球対象の球形モデルではなく、例えれば野球のグローブ(たんぱく質とリン脂質)がボール(中性脂質と炭化水素)を捕球した形の構造モデルである。リポポリサッカライドのエリシター活性に対するリポホリンの影響を見る時にこのモデルが役立つことを期待している。 3.アワヨトウを始め複数の鱗翅目昆虫幼虫から同定したサイトカイン(GBP : growth-blocking peptide)は、前駆体タンパク質として合成された後プロセッシングを経てアミノ酸23残基からなる活性型ペプチドとなる。現在、このプロセッシングに関わるセリン型プロテアーゼの一次構造の決定を目指し、精製タンパク質を調製中である。また、これまで、GBP様サイトカインは鱗翅目昆虫のみからしか同定されていなかったが、今年度、ヒツジギンバエ幼虫から新規サイトカインの同定に成功した。 4.ペプチドグリカン認識蛋白質(PGRP)の相同蛋白質を細菌感染したカイコの体液中より見出した。この蛋白質はPGRPファミリーのshort typeの一員と考えられ、細菌細胞壁成分のペプチドグリカンに単独で結合し、細菌感染により脂肪体で誘導的に発現する。以前に報告したPGRPはフェノール酸化酵素前駆体カスケードの構成因子であるが、この相同蛋白質はカスケード構成因子としての活性をもたないをことを示唆する結果を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tsuba, M. et al.: "Chemical factors of the leaf surface involved in the morphogenesis of Blumeria Graminis"Physiological and Molecular Plant Pathology. 60. 51-57 (2002)
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[Publications] Takahashi, H. et al.: "Estimation of intrerlamellar water molecuoles in sphingomyelin bilayer systems as studied by DSC and X-ray diffraction"Thermochimica Acta. (in press). (2003)
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[Publications] Tanaka, K. et al.: "Analysis in the course of polydnavirus replication in ovarian calyx cells of prasitoid wasps"Appl. Entomol. Zool.. 37. 323-328 (2002)
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[Publications] Tanaka, K. et al.: "Detailed characterization of polydnavirus immunoevasive proteins in an endoparasitoid wasp"Eur. J. Biochem.. 269. 2557-2566 (2002)
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[Publications] Murata, K. et al.: "Purification and characterization of biliverdin-binding vitellogenin from the hemolymph of the common cutworm, Spodoptera litura"Arch. Insect Biochem. Physiol.. 50. 97-106 (2002)
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[Publications] Kadota, K. et al.: "Existence of phenoloxidase in the argasid tick, Ornithodoros moubata"Parasitol. Res.. 88. 781-784 (2002)