2003 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫を制御するシグナル伝達カスケードとネットワーク形成
Project/Area Number |
13143202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉田 祥一朗 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90221944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畑 尚之 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 副学長 (30124217)
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Keywords | 自然免疫 / PGRP / 抗菌ペプチド産生 / フェノール酸化酵素系 |
Research Abstract |
自然免疫は、全ての多細胞生物が有する感染防御システムであり、近年その重要性が認識され注目されている。本研究の目的は、2つの自然免疫シグナル伝達カスケード、すなわち、PGRP-LEが介する抗菌ペプチド発現誘導経路とproフェノールオキシダーゼ(PO)カスケードの活性化の分子基盤を明らかにし、自然免疫カスケードの全貌(ネットワーク)の解明を目指すことである。 本年度は、PGRP-LEの欠損変異体を作成し、PGRP-LEが抗菌ペプチド産生誘導のimd経路の主要な調節因子であり、同じPGRPファミリーのPGRP-LCと機能的に相補することを明らかにした。さらに、PGRP-LEとPGRP-LCとの関係を解析したところ、PGRP-LEは部分的にPGRP-LCの上流で働き、さらに部分的にPGRP-LCとパラレルに存在する経路で作用することがわかった。このことから、PGRP-LEの下流に存在し、PGRP-LCとパラレルに働く細胞膜受容体が存在することが示唆された。そこで、PGRP-LEが実際に体液中に存在するかどうかPGRP-LEの抗体を作成し調べた結果、PGRP-LEが体液中に常在する分子であることが明らかとなった。さらに、PGRP-LEが微生物の感染で誘導されるproPOカスケードの活性化に必須な分子であることを明らかにした。その際、PGRP-LEは抗菌ペプチド産生経路とは独立にproPOカスケードを活性化したことから、proPOカスケードの活性化と抗菌ペプチド産生誘導は、PGRP-LEを介して連携していることが明らかとなった。proPOカスケードの活性化と抗菌ペプチド産生誘導の連携はかねてから推測されていたが、具体的にその連携が明らかとなったのは、本研究が始めてである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kurata, S.: "Recognition of infectious non-self and activation of immune responses by Peptidoglycan Recognition Protein(PGRP)-family members in Drosophila"Dev.Comp.Immunol.. 28. 89-95 (2004)
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[Publications] Yajima, M., Takada, M., Takahashi, N., Kikuchi, H., Natori, S., Oshima, Y., Kurata, S.: "A newly established in vitro culture using transgenic Drosophila revealed functional coupling between the phospholipase A2-generated fatty acid cascade and lipopolysaccharide-dependent activation of the imd pathway in insect immunity."Biochem.J.. 371. 205-210 (2003)
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[Publications] 倉田祥一朗: "ショウジョウバエにおける病原体認識機構"分子細胞治療. 2. 598-604 (2003)