2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13143203
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川畑 俊一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (90183037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 敬一 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (10136492)
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Keywords | 自然免疫 / 補体レクチン経路 / プロテアーゼ / シグナル伝達 |
Research Abstract |
自然免疫の異物認識における標的は、感染微生物表面のリポ多糖(LPS)やリポテイコ酸、ペプチドグリカンなどの特有の分子パターンとされ、それを認識する受容体はパターン認識受容体とよばれる。ごく最近、カブトガニ体液の顆粒細胞表面に存在するセリンプロテアーゼ前駆体がLPSに鋭敏に反応して、生体防御因子を瞬時に分泌させることを見い出した(PNAS2004)。今後は、カブトガニ顆粒細胞のTLRとは異なる新規のLPS認識システムを解明し、最終的には、LPS受容体-LPS複合体のX線結晶解析を行って、パターン認識の分子基盤を明確にしたい。また、抗菌ペプチドビッグディフェンシンの立体構造をNMRで決定し、現在、投稿準備中である。我々は、カブトガニを材料とした異物認識の分子機構の研究は、無脊椎動物の生体防御機構の理解を促すだけでなく、そこから生物に普遍的な生体防御システムを見い出し得ることを確信している。なぜなら、自然免疫の本質が、自己と非自己の識別という多細胞生物に共通した反応を基礎としているからである。感染微生物に形成される特異的な分子パターンとはいかなるものであるのか。異物認識の物質的基盤を明らかにするためには、詳細な生体高分子の3次元的な理解が不可欠である。カブトガニのLPS受容体の構造解析は、パターン認識という魅惑的な概念に潜む本質の解明に多大な貢献をすることが期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ariki, S.: "A serine protease zymogen functions as a pattern-recognition receptor for lipopolysaccharides."Proc.Natl.Acad.Sci.USA.. 101・4. 953-958 (2004)
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[Publications] Inamori, K.: "A Toll-like receptor in horseshoe crabs."Immunol.Rev.. (印刷中). (2004)
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[Publications] Osaki, T.: "Structure and function of coagulogen, a clottable protein in horseshoe crabs."Cell Mol.Life Sci.. (印刷中). (2004)
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[Publications] 川畑俊一郎: "カブトガニのタンパク質にみられる普遍性"シュプリンガーサイエンス、シュプリンガーフェアラーク東京(株). 18・2. 2-5 (2003)
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[Publications] 有木 茂: "LPS受容体を介したカブトガニ顆粒細胞の分泌機構"エンドトキシン研究、日本エンドトキシン研究会編集、医学図書出版. 6. 19-22 (2003)
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[Publications] 川畑俊一郎: "自然免疫における糖鎖認識の分子基盤"生化学、日本生化学会誌. (印刷中). (2004)