2001 Fiscal Year Annual Research Report
線虫を用いた細胞特異的遺伝子発現プロファイルと細胞機能相関の研究
Project/Area Number |
13202013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 雄一 東京大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (40192471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國友 博文 東京大学, 遺伝子実験施設, 助手 (20302812)
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Keywords | 細胞特異的遺伝子発現 / 生殖腺特異的遺伝子 / 線虫C.エレガンス / 不捻表現型 / elF-5F / ATP合成酵素 / 化学走性 / 学習 |
Research Abstract |
線虫C.エレガンスは細胞の機能とその細胞での全遺伝子発現とを対応づけて理解するための理想的なモデル生物である。線虫の生殖腺と神経系をモデルとして組織特異的遺伝子発現を基盤にした遺伝子機能解析のアプローチを確立することを目的として研究を進め、以下の成果を得た。 生殖腺形成に必須な遺伝子の解析:ESTマクロアレイ解析により同定した生殖腺特異的に発現するcDNAのうち約170クローンについてRNAi法を用いた機能阻害を施し生殖に必須な遺伝子を見い出している。同定した生殖必須遺伝子のうち、eIF-5A相同遺伝子とATP合成酵素b鎖相同遺伝子の解析を行った。ゲノム上に2つあるeIF-5A相同遺伝子のうち、一方(iff-1)が生殖腺特異的に発現、機能する。mRNA制御に関わると予想されるiff-1の欠損により、線虫の生殖顆粒であるP顆粒の構成因子の局在が乱れ、生殖細胞の増殖のステップに欠損が生じることが分かった。一方、ATP合成酵素b鎖の相同遺伝子もゲノム上に2つあるが一方(asb-1)が生殖腺特異的である。ASB-1はミトコンドリアに存在し、減数分裂のパキテン期の進行にras-MAPキナーゼ経路とともに働くことが明らかになった。 特定の細胞における遺伝子発現を検出する方法の開発:特定の細胞からのRNAを単離するため、ポリA結合蛋白質(PABP)を用いた方法を開発している。すなわち、特定の組織にタグをつけたPABPを発現させ、細胞内mRNAをin vivoでこれとクロスリンクしたのちPABPとともに精製する。これまでの研究経過でクロスリンク依存的にmRNAが回収されることを確認していたが、回収の定量性に欠けていたため、ブロトコールの改良を試みた。PABPの精製条件をさらに検討し、特異性よくPABPを回収する条件を見い出した。また、タグの種類と位置についても検討を加え、組織特異的にタグ付加PABPを発現する株を作成した。 化学走性行動の可塑性のアッセイ系の作成:神経系における遺伝子機能の解析のために、神経高次機能のアッセイ系が必要である。そのようなアッセイ系として水溶性物質への化学走性に関する連合学習の系を開発した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Saeki S, Yarnamoto M, Ilno Y: ""Plasticity of chemotaxis revealed by paired presentation of a chemoattractant and starvation in the nematode Caenorhabditis elegans.""Journal of Experimental Biology. 204. 1757-1764 (2001)
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[Publications] Hanazawa M, Mochii M, Ueno N, Kohara Y, Jino Y: ""Use of cDNA subtraction and RNA interference screens in combination reveals genes required for germ-line development in Caenorhabditis elegans.""Proceedings of the National Academy of Sciences USA. 98. 8686-8691 (2001)