2001 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム時代の生命観・人間観に関する人文・社会科学的研究
Project/Area Number |
13202025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
位田 隆一 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40127543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 和人 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (10202011)
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Keywords | ゲノム / 生命観 / 人間観 / 遺伝子解析 / 医学研究 / 生命倫理 / 進化 / 生物多様性 |
Research Abstract |
ゲノム研究は、医学、薬学、農学等の分野で新技術の開発に貢献するだけでなく、「生命とは何か」「人間とは何か」といった問いに対し、重要な基礎知識を提供する。本研究では、ゲノム研究から見えてくる生命観・人間観を、ゲノム研究者との議論を通してまとめることを目指した。 本年度は、研究者への聞き取り調査と、公開シンポジウム「ゲノム研究と生命観・人間観」(2002年2月1日京都)を行い、研究者の意見を集め、いくつかの論点を明らかにした。 (1)ミニマルゲノム研究は、ミニマルな機能を持つゲノムセットを見出すことを目指し、生命の本質を追求するものではない。(2)生物は、分子で構成されているという点では「分子機械」と呼べるが、時計や車といった一般的な機械とは本質的に異なる。いわば、「へたくそなシステム」という表現が適当な、過去からの不要物を大量に背負ったシステムである。(3)人間は、自分自身を変える技術を獲得した点で、やはり、特殊な生物だと考えられる。生物や人間の全体像の理解が完全でない段階でも、医療やその他の目的のために、人間は自分自身を改変すると思われる。広範な社会的議論が必要になるであろう。 これらの成果を公表するために、現在、まとめを作成中であるが、既に一部の成果については、初めに述べた公開シンポジウムや、位田、加藤それぞれが行なった学会発表や雑誌での著作、講演等を通じて公表してきた。位田は、ユネスコ生命倫理委員会委員長として、世界各国の生命倫理関係者と議論を行ない、多数の国際会議において招待講演者として講演を行なった。分担者の加藤は、京都市生涯学習総合センターにおける開館20周年特別講座において、「ゲノム・人生・花鳥風月」というテーマのもとに、ゲノム研究と人間観の変化について講演を行なった他、多数の講演を行なった。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 位田 隆一: "科学技術と人権の国際的保護-生命科学の発展と人権保護"国際法学会編『日本の国際法100年 第8巻人権』. 第8巻. 207-234 (2001)
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[Publications] 位田 隆一: "ガン研究と社会と生命倫理"癌の臨床. 47巻12号. 1149-1152 (2001)
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[Publications] 吉川寛, 位田隆一: "(討論)ゲノム、クローン研究が人類に突きつけた問い-生命倫理と科学研究のはざまで"「世界」(岩波書店). 699号. 77-87 (2002)
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[Publications] IDA, Ryuichi: "Les avancees medicales et le progres de la sante"Progres medical & Qualite de vie au XXIe siecle 4e Congres international du Conseil international pour un progres global de la sante 25-26-27 Juin, 2001, Paris. 23 (2001)
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[Publications] Sachiko Mitsuishi, Kazuto Kato, Keiko Nakamura: "A study of a new way to communicate science to the public-Through the Creation of Scientist Library"Public Understanding of Science. Vol.10. 231-241 (2001)
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[Publications] 加藤 和人: "生物学・生命科学と言葉"季刊「生命誌」(JT生命誌研究館). 9巻・2号. 18-19 (2001)
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[Publications] 加藤 和人: "ゲノムの時代をどう読むか-生物学・生命科学の素顔を探る"フロント(財団法人リバーフロント整備センター). 10号. 48-49 (2001)
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[Publications] 加藤 和人: "クローン技術の背景を探る-発生生物学と応用技術"フロント(財団法人リバーフロント整備センター). 11号. 48-49 (2001)
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[Publications] 加藤 和人: "「科学コミュニケーション」の提案-文化としての科学を共有するために"フロント(財団法人リバーフロント整備センター). 12号. 48-49 (2001)
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[Publications] 加藤 和人: "ヒトクローン胚と幹細胞研究"世界(岩波書店). 699号. 88-98 (2002)