2001 Fiscal Year Annual Research Report
脳構造形成機構におけるCNR分子群の機能と系統進化
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13202068
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
先崎 浩次 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (30333280)
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Keywords | 大脳皮質形成機構 / カドヘリン / 脳の進化 |
Research Abstract |
マウス大脳皮質層構造形成機構に必須の分子であるReelinの受容体であるCNR分子群は系統進化の過程で徐々に増加しており、系統進化の過程での大脳皮質層構造の多層化を大脳皮質構造形成に関与する分子の多様化との相関として理解できる可能性が示された。各脊椎動物種におけるCNR遺伝子のゲノム構造解析、発生生物学的解析等を行い、脳の形成と進化に関するCNR分子機構の解明を目的とする。BAC(Bacterial artificial chromosome)ライブラリーを用いて、各脊椎動物種におけるCNR遺伝子のゲノム構造を明らかにし、系統進化の過程でのCNR遺伝子の分子構造およびゲノム構造での分子進化の解析を行う。また、各CNR特異プローブを用いたin situハイブリダイゼーション法により、各脊椎動物種における各CNR遺伝子の発現様式を明らかにし、発現様式より想定されるCNR分子の機能解析を行い、各脊椎動物種において各CNR分子がどのような機能を担っているのかを解析する。 これまでに、哺乳類(ヒト、マウス)については既にBACクローンが単離されている。今回、魚類(ゼブラフィッシュ、メダカ)、鳥類(ニワトリ)のCNR BACクローンの単離に成功した。ゼブラフィッシュについてCNR全ゲノム配列が決定され、マウス、およびヒトCNRゲノム構造との比較解析を行った。その結果、ゼブラフィッシュにおいても、マウスおよびヒトとほぼ同数の13種のCNRが存在したが、Reelin結合配列をもつCNR分子は存在せず、また、ヒト、マウスと比べるとゼブラフィッシュ特有のCNR遺伝子分子進化が認められた。以上の結果は、CNRゲノム構造の分子進化が種特異的CNRの分子機能に関与している可能性を示唆する。
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