2001 Fiscal Year Annual Research Report
ケージドRNAを用いたゼブラフィッシュ胚での細胞レベルの遺伝子発現制御
Project/Area Number |
13202070
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
安藤 秀樹 理化学研究所, 発生遺伝子制御研究チーム, 研究員 (10251844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 仁 理化学研究所, 発生遺伝子制御研究チーム, チームリーダー(研究職) (40183769)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / Bhc-diazo / Caged RNA / 時空間特異的遺伝子発現制御 / Engrailed2a |
Research Abstract |
我々は科学研究費の支給を受けた平成13年度で、新規に合成されたケージド化合物(Bhc-diazo)を用いて目的の遺伝子のmRNAをケージし、翻訳活性を阻害したmRNA(Caged-mRNA)の合成法を確立した。Caged-mRNAをゼブラフィッシュの受精卵に導入後、胚発生の任意の時期および部位に365nmの紫外線を局所的に瞬間照射しケージをはずすと、その部位にのみ目的の遺伝子産物が翻訳され、時空間特異的に遺伝子発現が誘導されることを証明した。さらに、直径約2μmの微細な範囲にピンポイントで紫外線照射が可能な顕微鏡を作成し、単一の細胞での発現誘導に成功した。本法により視覚中枢の極性決定に関わる転写因子Engrailed2aをゼブラフィッシュ胚の頭部に過剰発現させた個体では、従来他の動物で記載されているように間脳の形成が著しく抑制され、間脳由来の眼の発生もみられなかった。また終脳の形成も同様に著明に抑制され、多くの個体で終脳の欠損がみられた。このことはEngrailed2aが終脳発生を抑制することを示す最初の例である。以上に述べたように、Bhc-diazoを用いたケージドmRNAの時空間特異的な発現誘導系は、従来行われていたトランスジェニック系統を使った方法と比較し約100倍の効率で目的の遺伝子機能の解析を可能にし、その手法も簡便である。従って、本法は現在進行中のゲノムプロジェクトにより同定された、配列既知だが機能が未知の多くの遺伝子の機能を網羅的に解析することを可能にするばかりか、線虫など透明な動物や培養細胞にも応用できるのでその用途と遺伝子機能解析への有用性は非常に幅広い分野に及ぶものと期待される。本研究実績は米国の科学雑誌Nature Genetics(Vol.28,317-325,2001)に掲載された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hideki Ando, Toshiaki Furuta, Roger Y. Tsien, Hitoshi Okamoto: "Photo-mediated gene activation using caged RNA/DNA in zebrafish embryos"Nature Genetics. 28. (2001)