2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト男性ホルモンレセプター遺伝子疾患における発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
13204019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武山 健一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (30323570)
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Keywords | アンドロゲン代謝異常 / アンドロゲンレセプター(AR) / アンドロゲン不応症 / AR遺伝子欠損マウス / 性分化異常 / 球脊髄性筋萎縮症 / AR過剰発現ショウジョウバエ / アンドロゲン依存性 |
Research Abstract |
アンドロゲン代謝異常に伴う多因子疾患遺伝子としてアンドロゲンレセプター(AR)に着目し、個体レベルでの作用機構解明に取り組んだ。これらモデル個体の表現型の解析ならびに標的遺伝子の探索により発症の分子基盤を構築した。 アンドロゲン不応症モデルはAR遺伝子完全欠損マウスを作出した。X染色体上に位置し伴性劣性遺伝形式をもつAR遺伝子完全欠損雄マウスは不妊となることが予想され、作出に際しCre-loxPシステムを用いて成し遂げた。この雄マウスの表現系は睾丸性女性化症を呈していた。さらに生殖器の分化異常(睾丸萎縮)や高回転型骨代謝異常による骨量減少、雄的性行動異常を確認している。続いて球脊髄性筋萎縮症モデルは、ポリグルタミンリピート異常型AR過剰発現ショウジョウバエを作出し、神経変性症の解析系として確立されている個眼形成の形態を観察した。ショウジョウバエに導入したポリグルタミン異常伸長型ARの個眼形成は、アンドロゲン依存的に顕著な神経変性が生じることを見出した。詳細な表現系はアンドロゲン依存的に個眼形成の破綻、色素欠失、神経変性であり、これらの表現系は従来汎用されているAR転写活性抑制型の抗前立腺癌アンタゴニスト投与でも生じることが判明した。このことは、神経変性症がARのアンドロゲン依存的な転写活性化による作用点とは異なることを意味している。最終的にこの分子メカニズムはアンドロゲン依存的なARリガンド結合領域の立体構造変化にが引き金になることを強く示唆した。 現在これらモデル個体の詳細な解析とともに、これら疾患に関与する分子の網羅的なスクリーニングによる発症メカニズム全貌解明を展開している。1)AR遺伝子完全欠損型雌マウスの作出・解析により得られた知見をもとに、雌雄個体差を考慮したAR標的遺伝子の単離同定を試みている。2)球脊髄性筋萎縮症モデル型ショウジョウバエの表現型解析による神経変性促進あるいは抑制遺伝子の網羅的なスクリーニングを試みている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Matsui D, Sakari M, Takeyama K, Kato S., et al.: "Transcriptional regulation of the mouse steroid 5alpha-reductase type II gene by progesterone in brain"Nucleic Acids Res. 30. 1387-1393 (2002)
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[Publications] Kitanaka S, Takeyama K, Murayama A, Kato S.: "The molecular basis of vitamin D-dependent rickets type I"Endocr J.. 48. 427-432 (2001)
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[Publications] Watanabe M, Yanagisawa J, Takeyama K, Kato S.: "A subfamily of RNA-binding DEAD-box proteins acts as an estrogen receptor alpha coactivator through the N-terminal activation domain (AF-1) with an RNA coactivator, SRA."EMBO J.. 20. 1341-1352 (2001)