2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13204042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 祐一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (60283610)
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Keywords | インクレチン / GIP / GLP-1 / 糖尿病 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
過食や動物性脂肪の過剰摂取が糖尿病をはじめとする"生活習慣病"発症につながる分子基盤と新たな遺伝素因の解明を目的に、食と生体内糖・脂質代謝の接点である消化管に着目し、消化管ホルモンGIP(gastric inhibitory polypeptide)の生体内の代謝への影響について、GIP受容体欠損マウスをモデルに解析を進めた。 まず、ATP感受性カリウムチャネルKir6.2遺伝子の欠損マウスとの交配で得られるダブル欠損マウスは糖負荷後のインスリン分泌がほとんどなく、食後のインスリン分泌は、グルコースによる膵β細胞の直接作用と、消化管K細胞のGIP分泌を介した間接作用の2つが非常に重要であることを示した。さらに、他の消化管因子GLP-1(glucagons-like peptide 1)の受容体とのダブル欠損マウスの解析で、現在臨床治験が国内外で進行しているDPPIV(dipeptidyl peptidase IV)阻害薬の降血糖作用はGIPとGLP-1の2種類の不活性化抑制によることを明らかにした。また、GIP受容体欠損マウスの骨組織の解析と血中カルシウム濃度の解析などから、GIPは骨芽細胞のアポトーシスを抑制することによって、食事内のカルシウムの吸収で上昇する血中カルシウムを骨に沈着させる役割を有しており、このシグナルを欠くと骨粗鬆症になることを明らかにした。 このように、消化管シグナルは、栄養と生体内の代謝の接点として、栄養を効率よく体内に取り込む役割を有している。したがって、飽食の現代では脂肪の過剰摂取があり、このシグナルは肥満の要因となる。一方、カルシウム摂取不足は続いており、消化管シグナルは骨粗鬆症の要因にもなる。
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Research Products
(6 results)