2001 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインダイナミクスのプロテオーム解析に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13206066
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
榊原 陽一 宮崎大学, 農学部, 助手 (90295197)
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Keywords | ラフト / マイクロドメイン / プロテオーム / T細胞 / シグナル伝達系 / 二次元電気泳動 |
Research Abstract |
プロテオーム解析の過程において、現在広く用いられているIPGストリップを使用した二次元電気泳動では、疎水性の強い膜タンパク質や、塩基性タンパク質などに必ずしも対応できていないのが現状である。そこで、膜タンパク質や塩基性タンパク質に対応したプロテオーム解析法の確立によるタンパク質の細胞内での発現量のみの検討ではなく、細胞のシグナル応答によって誘導されるタンパク質のダイナミックな挙動(転写因子の核への移行、シグナル分子のラフトへの移行など)、タンパク質の細胞内輸送系を個々のタンパク質に的を絞らず、プロテオーム解析により網羅的に解析できる分析方法の確立を目的とし、その二次元電気泳動による分離条件の検討、タンパク質細胞内輸送系の解析のための細胞システムの構築を検討する。 電気泳動の分離条件としては非界面活性剤スルホビテイン(NDSB)3種を使用した膜タンパク質の分離条件の検討を行った。その結果、NDSBを使用することで膜タンパク質のIPGストリップによる一次元電気泳動での分離が特に酸性等電点領域で格段に向上した。現在、疎水性の非常に高い膜画分であるDetergent-Insoluble Glycolipid enriched membrane(DIG)画分をH9細胞より調製しさらに分離条件の検討を行っている。 シグナル応答の解析において、T細胞受容体(TCR)を活性化したときにTCRの下流でシグナル伝達に関与する分子、LAT、lckやZap-70などの分解が確認された。このことからTCRの刺激に伴ってダウンレギューレーションを受ける分子群を網羅的に解析することでTCR下流のシグナル伝達系の全体像を明らかにできる可能性が示された。さらにダウンレギュレーシヨンの過程を定量的に分析した結果、TCR複合体と、ラフトに存在するシグナル分子群の分解は少なくとも2つの機構が存在することが示唆された。
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