2001 Fiscal Year Annual Research Report
微生物における転写調節系の比較ゲノミクス・プロテオミクス
Project/Area Number |
13206074
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
藤田 信之 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助手 (90173434)
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Keywords | バクテリア / 転写因子 / 転写調節 / 比較ゲノミクス / コドン使用頻度 / 蛋白質ファミリー |
Research Abstract |
全ゲノム配列が公開されているバクテリア36種について、既知の転写因子との配列の相同性および文献調査をもとに、網羅的な転写因子のサーベイを行ない、一次構造に基づく分類を行なった。また比較のために古細菌11種と真核生物2種(出芽酵母とシロイヌナズナ)についてもバクテリア型転写因子がどの程度保存されているかを調べた。バクテリアにおいてはほとんどの転写因子がDNA結合ドメインとしてHTH型の構造を持ち、全体として階層的な蛋白質ファミリーを形成していた。このことはホモロジー検索による転写因子の同定をある程度容易にしている反面、ホモロジースコアのみからオーソログを推定することを困難にしており、不適切なアノテーションの一因ともなっている。一方では調節ドメイン(リン酸化ドメイン、補助因子結合ドメイン等)と他の蛋白質(酵素、輸送蛋白等)との相同性に起因する分類の間違いも少なくない。そこで転写因子の同定と分類に際しては、ドメインごとの相同性検索を基本とし、最終的にはファミリーごとのアラインメントを行なって転写因子としての特徴的な構造が保存されていることを確認する手段をとった。 バクテリアにおいては、どの分類群に属するかにかかわらず、ゲノムサイズと転写因子の数との間には明らかな正の相関が見られた。例えばゲノムサイズが4.6Mの大腸菌では約260種類、4.2Mの枯草菌では約230種類の転写因子を持つと推定された。ゲノムサイズの減少とともに転写因子の数は急激に減少し、ゲノムサイズが1.5M程度以下の生物種では、極端に低い値を示した。生物種間のファミリー構成の比較、および各ファミリーについての系統解析から、それぞれの転写因子ファミリーはかなり古い起源を持つものと推定された。またDNA結合ドメインとの相同性から新規の転写因子ファミリーと推定される蛋白質群をいくつか見いだした。コドン使用頻度の主成分分析に基づいて各遺伝子の内在性、外来性の評価を行なった。これらのデータをデータベース化しWeb上で公開する準備をすすめている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K. Yamamoto: "Novel mode of transcription regulation by SdiA, an Escherichia coli homologue of the quorum-sensing regulator"Molecular Microbiology. 41. 1187-1198 (2001)
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[Publications] M. Shin: "Repression of deoP2 in Escherichia coli by CytR : conversion of a transcription activator into a repressor"EMBO Journal. 20. 5392-5399 (2001)
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[Publications] O.N. Ozoline: "Mode of DNA-protein interaction between the C-terminal domain of Escherichia coli RNA polymerase α subunit and T7D promoter UP element"Nucleic Acids Research. 29. 4909-4919 (2001)
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[Publications] F. Colland: "The interaction between σ^s, the stationary phase σ factor, and the core enzyme of Escherichia coli RNA polymerase"Genes to Cells. (印刷中).