2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラン藻の環境応答遺伝子ネットワークのゲノミクス・プロテオミクス解析
Project/Area Number |
13206081
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
鈴木 石根 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (10290909)
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Keywords | Synechocystis sp.PCC 6803 / DNAマイクロアレイ / 低温 / 低温センサー / 環境ストレス / リン酸化 / ヒスチジンキナーゼ |
Research Abstract |
研究の目的 生物は環境の変化に応じて遺伝子発現を制御するとともに、発現したタンパク質の活性を調節して、その環境変化に適応して生存している。本研究は、ラン藻Synechocystis sp.PCC6803のトランスクリプトーム解析とプロテオーム解析を平行して行い、低温ストレスへの適応過程にある細胞のmRNA発現量の変化とタンパク質発現量の変化を比較すること、低温センサーの欠失変異が低温応答性のmRNA発現量の変動とタンパク質の量的・質的な変動におよぼす影響を解明することを目的とする。 2001年度の成果 トランスクリプトーム解析 Synechocystisの低温センサー(Hik33)変異株の低温条件での遺伝子発現を、DNAマイクロアレイを用いて解析した。Hik33の変異により一部の低温誘導性遺伝子の発現を完全に消失したが、影響を受けない遺伝子群が存在しHik33のほかに第2の低温センサーの存在を予想した。ヒスチジンキナーゼの変異株ライブラリーのスクリーニングにより第2の低温センサーの候補としてHik2と名づけたヒスチジンキナーゼを同定した。高塩濃度、高浸透圧条件でのDNAマイクロアレイを用いた解析を行い、それぞれのストレスに特異的に応答する遺伝子群と共通に応答する遺伝子群が存在することがわかった。 プロテオーム解析 Synechocystisの可溶性タンパク質の二次元ゲル電気泳動によりCBB染色により320スポット、シプロルビーレッド染色では400スポットを検出できる実験系を確立した。プロテオーム解析の結果、192のスポットを同定し105分子種を同定できた。 達成できなかったこと 膜タンパク質の二次元電気泳動が困難であった。特に一次元目のIEFのサンプルの可溶化が困難であった。今後、膜タンパク質の可溶化の条件を検討する。複数の界面活性剤による段階的な可溶化を試みる。二次元ゲルにこだわらず分離能をよくした1次元ゲルから、MALDI-TOF/MS解析を行ってみたい。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kanesaki Y, Suzuki I, Allakhverdiev SI, Mikami K, Murata N.: "Salt Stress and Hyperosmotic Stress Regulate the Expression of Different Sets of Genes in Svnechocvstis sp.PCC 6803"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 290(1). 339-348 (2002)