2001 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックラットによる新しいALS動物モデルの作製とその病態解析
Project/Area Number |
13210013
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 正志 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70302148)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 運動ニューロン / 選択的細胞死 / 家族性 / トランスジェニックラット / 点突然 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis以下ALS)は神経疾患のなかで最も過酷な疾患とされており、早期に病因の解明と有効な治療法の確立が求められている。1993年Cu/Zn superoxide dismutase(Cu/Zn SOD)遺伝子が一部の家族性ALSの原因遺伝子であることが発見されたが、Cu/ZnSODの異常がなぜ運動ニューロンに選択的な細胞死をもたらすかは依然として不明である。本研究ではALSの新しい動物モデルとしてトランスジェニック(Tg)ラットの作製行う。従来のマウスに比較してラットの脊髄および脊髄前角細胞は極めて大きく、生化学的あるいは生理的な解析が容易となる。また、脊髄の運動ニューロンに対して効率良くしかも副作用を回避できる薬物の投与ルートとして髄腔内投与が注目されており、Tgラットではこの髄腔内投与が容易である。このようにTgラットによる新しいALSモデルは将来的な遺伝子治療や神経幹細胞移植を含めた新しい治療法開発のために非常に有用と考えられる。ヒト家族性ALSにおいて臨床経過が非常に緩徐なH46R変異およびTgマウスが世界的に供給されているG93A変異を持つCu/ZnSOD遺伝子をSDラット受精卵にマイクロインジェクションし、遺伝子の導入を確認した。H46R変異およびG93A変異を持つTgラット共に導入された変異ヒトCu/Zn SOD蛋白が多く発現した系統(H46R-4およびG93A-39)において運動ニューロン病の症状の発現が認められた。変異Cu/Zn SOD蛋白の発現量はG93A-39の方がH46R-4に比較して少ないのにもかかわらず、G93A-39はより早期に発症し、かつ非常に急速な進行を示している。これは導入した変異がG93A変異の家系は速い経過を示し、H46R変異が非常に緩徐な経過を取ることと相関していると考えられた。
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Research Products
(1 results)