2001 Fiscal Year Annual Research Report
情動・ストレス反応におけるプロスタノイドの役割とその分子機構
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13210079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 拓也 京都大学, 医学研究科, 助手 (20311730)
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Keywords | 情動 / ストレス / プロスタノイド / ノックアウトマウス / 行動 |
Research Abstract |
プロスタノイドは、生体内において非常に多彩な作用を示すが、その作用は標的細胞表面にある特異受容体を介して発揮される。すなわちPGD, PGE, PGF, PGI, TXAに対してDP, EP, FP, IP, TPの各受容体であり、EPには4種類のサブタイプ(EP1-EP4)が存在する。我々は、これら8種類のプロスタノイド受容体cDNAをクローニングし、プロスタノイド受容体欠損マウスを作成した。中枢神経系におけるプロスタノイドの作用には、発熱や痛覚過敏の他、病的睡眠やACTHなどの神経内分泌の促進を引き起こすことが知られている。しかしながら、このようなプロスタノイドの神経病態作用の中で、その意義と詳細な分子メカニズムが理解されているものはほとんど皆無である。そこで、プロスタノイドによる病態生理的意義を解析するために、8種類のプロスタノイド受容体(DP, FP, IP, TP, EP1-4)欠損マウスを用いて解析を行った。その結果、(1)エンドトキシン(LPSなど)によるACTH分泌を測定し、EP1欠損マウスとEP3欠損マウスで分泌が有意に抑制されていることを見出した。さらにEP1欠損マウスでは、扁桃体中心部におけるストレス応答性c-fos発現細胞の減少、LPSによる行動抑制の障害を認めた。また、EP1欠損マウスで認められる表現型は、野生型マウスにEP1拮抗薬を投与することにより再現された。(2)EP1受容体欠損マウスの環境ストレスならびに社会的ストレスに対する行動解析の結果、EP1欠損マウスは、聴反射反応の亢進、自発跳躍の増加、断崖回避行動の障害、社交性の欠如ならびに攻撃性の亢進を認め、野生型で見られるストレス応答性が不安定になっていることを見出した。またEP1欠損マウスで認められるこのような表現型は、野生型マウスにEP1拮抗薬を投与することにより再現された。このことは、種々のストレス入力に対するいずれの応答においても、EP1シグナリングが関与することを示唆するものである。(3)EP2-EP4受容体欠損マウスにおいては、ストレスに対する著明な行動異常を認めなかった。(4)マウスのEP1、EP3受容体に対する特異的なポリクローナル抗体の作成に成功した。現在これらの抗体を用いて組織学的な解析を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mizoguchi.A, et al.: "Dominant localization of prostaglandin D receptors on arachnoidtrahecular cells in mouse basal forebrain and their involvment in the regulation of non-rapid eye movement sleep"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98. 11674-11679 (2001)
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[Publications] Minami T. et al.: "Characterization of EP receptor subtypes responsible for prostaglandin E_2-induced pain responses by use of EP1 and EP3 receptor knockout mice"Br. J. Pharmacol.. 133. 438-444 (2001)