Research Abstract |
昨年度に引き続きパーキン遺伝子の変異解析とパーキン蛋白の機能解析を中心に研究を行った.更にパーキン遺伝子変異陰性の家系については,最近相次いで発見された家族性パーキンソン病の原因遺伝子であるPINK1,DJ-1,LRRK2についても解析を行い,PINK1変家系6家系,LRRK2変異1家系を発見した.DJ-1については,変異家系は発見できず,国際的にも稀な変異とされている結果が裏付けされた.LRRK2に関しては,解析を始めたばかりであるので,今後増えると予想できる.E3ユビキチンリガーゼとしてのパーキンの活性調節に14-3-3蛋白が関与していることを発見した.14-3-3は,パーキンのリンカー部分に結合し,パーキンの活性を抑制している.酸化的ストレスなどでアルファ-シヌクレインの発現が上昇すると,14-3-3蛋白に結合し,この複合体はパーキンから離れ,活性が上昇する.AR-JPにおいては,パーキンが欠乏しているにも拘わらず,黒質・青斑核以外のニューロンは変性せず,これが謎であったが,今回の結果はこれを説明するものと考えられる.即ち,酸化的ストレスの低い所では,アルファ-シヌクレインの高発現がなく,パーキンがinactiveであっても,神経変性は起きないと推定される.黒質においては,高濃度のドパミンのため,酸化的ストレスが強くパーキンを必要とすると考えられた.これは昨年のパーキンノックダウンにより,ドパミンの自動酸化物であるドパミンクロームが上昇する所見と一致する.更にパーキンの機能を探索するために,作成していたパーキンノッダウンマイスの作出に成功した.その解析を推進し,パーキン欠損による黒質の変性機構を解明したいと考えている.
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