2001 Fiscal Year Annual Research Report
歩行運動を制御するサル大脳皮質一次運動野細胞活動様式のマルチユニット記録法による解析
Project/Area Number |
13210144
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
中陦 克己 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (60270485)
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Keywords | 二足歩行 / ニホンサル / 流れベルト / 大脳皮質 / 一次運動野 / 補足運動野 |
Research Abstract |
本研究の目的は直立二足歩行における高次中枢制御機序の解明である。そのため長期にわたり流れベルト上で二足歩行を運動学習したニホンサルにおいて、大脳皮質一次運動野(M1)および補足運動野(SMA)の下肢領域にムシモール(GABA_Aアゴニスト)を微量注入した。M1およびSMAの各下肢領域は皮質内微小電気刺激法を用いて同定した。同定された下肢領域内の複数点(2-8点)にムシモール(10μg/μl)を1μlずつ注入した後サルに流れベルト上で二足歩行を遂行させた。サルの歩容は高速ビデオカメラで撮影し、その歩容を注入前後で比較した。 得られた結果は以下の2点に要約される。1)M1において、右下肢領域(2点)にムシモールを注入した後サルは左下肢遊脚相において左足関節および足指関節の背屈運動を行うことができず、下垂足(drop foot)を示した。また右下肢着地相時間を延長、左下肢着地相時間を短縮させて、跛行を示した。しかし歩行中の体幹は安定に維持された。2)SMAにおいて、右下肢領域(2点)にムシモールを注入した後サルの二足歩行に明らかな変化は認められなかった。しかしSMAの左右下肢領域(8点)にムシモールを注入した後、サルは体幹を前後および左右に動揺させながら歩行した。また左右下肢の着地相時間は不規則になった。左右下肢の遊脚相においてサルは左右足関節の背屈運動を行うことができた。 以上の結果から、二足歩行を学習したサルにおいて大脳皮質一次運動野および補足運動野が二足歩行の制御にかかわること、さらにこれらの運動領野が二足歩行運動の異なる側面をそれぞれ制御する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Katsumi Nakajima: "Integration of upright posture and bipedal locomotion in non-human primates"Sensorimotor Control, IOS Press, Amsterdam. 95-102 (2001)
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[Publications] Olivier EO: "Investigation into non-monosynaptic corticospinal excitation of macaque upper limb single motor units"J Neurophysiol. 86. 1573-1586 (2001)
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[Publications] Shigemi Mori: "Supraspinal sites that induce locomotion in the vertebrate central nervous system"Adv Neurol. 87. 25-40 (2001)
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[Publications] Futoshi Mori: "Bipedal locomotion by the normally quadrupedal Japanese monkeys, M.Fuscata : strategies for obstacle clearance and recovery from stumbling"Acta Physiol Pharmacol Bulg. 26. 147-150 (2001)