2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13210147
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
高島 明彦 独立行政法人理化学研究所, アルツハイマー病研究チーム・チームリダー (00154774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐原 成彦 独立行政法人理化学研究所, アルツハイマー病研究チーム, 研究員 (40261185)
催 徳華 独立行政法人理化学研究所, アルツハイマー病研究チーム, 研究員
石塚 公子 独立行政法人理化学研究所, アルツハイマー病研究チーム, 研究員 (80373265)
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Keywords | アルツハイマー病 / 神経変性 / 神経原線維 / タウ / 老化 |
Research Abstract |
神経原線維変化はリン酸化されたタウ蛋白が細胞内で繊維状構造物として蓄積したものであり、アルツハイマー病をはじめ痴呆症を伴う神経変性疾患に共通に観察される。従って神経原線維変化の形成機序を明らかにすることからアルツハイマー病における神経細胞死機構を明らかにし、治療法を示すことをこの研究の目的としている。これまで我々は神経原線維変化を呈するタウトランスジェニックマウスの作成に成功し、これらを用いて、βアミロイドによってGSK-3βの活性化、シナプス消失、神経脱落が起こることを見いだした。今年度はCHIPがタウ蛋白のユビキチンリガーゼとして働き、タウ蛋白をユビキチンプロテアソーム系によって効率よく分解することを示した。更にP301Lを発現する安定細胞株はベクターだけの細胞と比べて細胞ストレスに対して脆弱であるのだが、CHIPを高発現すると不溶性タウの減少とともに脆弱性は対照レベルまで回復することが示された。すなわち、不溶化タウとストレスに対する細胞の脆弱性には関連が観られ、CHIPは不溶性タウの出現を抑制することが明らかになった。タウ蛋白の繊維化機構の詳細はこれまで明らかになってこなかった。in vitroでのタウ凝集過程を原子間力顕微鏡を用いて溶液中で詳細に検討した。その結果、タウは繊維化する前に5個以上のタウ分子からなる球状の凝集中間体を作り、それらが連結してPHFと呼ばれるタウ繊維を形成することが明らかになった。ヒト脳から精製したタウ線維凝集中間体はすでにサルコシル不溶性であり、PHFタウ同様過剰にリン酸化していた。この中間体はAD脳とくらべてはるかに少量ではあるが正常脳でも見いだすことが出来た。このことは正常脳においても中間体形成が起きており、それを代謝する機構、例えばCHIPなどによって代謝され線維形成が抑制されている可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)