2004 Fiscal Year Annual Research Report
Polk遺伝子欠損マウス個体及び細胞株における突然変異の誘発
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13214049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大森 治夫 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (10127061)
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Keywords | DNAポリメラーゼ / DNA損傷 / 当然変異 / 発ガン / 色素性乾皮症 / エストラジェン / グアニン / monoADPribose |
Research Abstract |
DNA損傷が突然変異の誘発に繋がることは古くから知られてきたが、その際に損傷バイパス型DNAポリメラーゼが関与することが明らかになったのは比較的最近のことである。ヒトなどにはそのような酵素が複数存在し、DNA損傷による突然変異の抑制及び誘発の両方に関与する。そのうちの一つであるPolηは紫外線照射によって生じる主な損傷であるシクロブタン型ピリミヂンダイマー(CPD)をほぼ誤り無くバイパスするが、その酵素を欠損した色素性乾皮症バリアント型患者では別な損傷バイパス型DNAポリメラーゼがCPDのバイパス合成に働いて突然変異を頻発するために皮膚がんを生じやすいと考えられている。 Polηと類似したPolκを見い出し、Polκは試験管内反応においてCPDをバイパスできないが、肺がんの主要原因物質とされるベンゾピレンがDNA中のグアニンに付加したような損傷(dG-N2-BPDE)をほぼ誤り無くバイパスすることを報告してきた。更には、女性ホルモンの一つであるエストラジェンの代謝物はDNAと結合してさまざまな付加体を生じるが、そのうちdG-N2-BPDEと同様にグアニンのN2の位置に付加した損傷をPolκは効率良く、しかも誤り無くバイパスすることが明らかになった。一方、Polκはエストラジェン類似の化合物がシステインに付加したような損傷はバイパスしなかった。 モンシロチョウ由来のタンパク質であるピエシリンー1はDNA中のグアニンのN2の位置にmonoADPriboseを付加する活性を持つことが明らかになっているが、こうして生じた損傷(dG-N2-ADPr)もPolκは誤り無くバイパスすることが明らかになった。これらの結果から、Polκは一般的にグアニンのN2の位置に生じたDNA損傷を誤り無くバイパスする機能を持つと結論された。
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Research Products
(6 results)