2001 Fiscal Year Annual Research Report
機能獲得性c-kit遺伝子変異導入マウス作成による腫瘍発生機序の解析
Project/Area Number |
13214058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣田 誠一 大阪大学, 医学部・附属病院, 助教授 (50218856)
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Keywords | c-kit遺伝子 / germline mutation / GIST / ICCs / ジーンターゲティング / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
消化管ストローマ細胞腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor, GIST)は消化管の間葉系腫瘍の大部分を占める腫瘍である。我々は受容体型チロシンキナーゼをコードしているがん原遺伝子c-kitにおける機能獲得性変異がGISTの発生に重要な働きをしていることをみつけ、さらにGISTの多発する家系を見つけ、この家系にはその原因と考えられるgermlineにおけるc-kit遺伝子の機能獲得性突然変異が見られることを示した。この家系ではGISTが多発するほか、その前駆病変と考えられるカハールの介在細胞(Interstitial cells of Cajal ; ICCs)の過形成像がみられた。germlineにおけるc-kit遺伝子の突然変異がマウスにおいてもICCsの過形成を基盤とした多発性のGISTを引き起こし、ヒトの家族性多発性GISTのモデルとなるかどうかを調べるために、,機能獲得性c-kit遺伝子変異をマウスに導入することを試みた。ジーンターゲティング法によりノックインマウスを作る予定であるが、現在まだターゲティングベクターの作成段階であり、これに先立って今回はまず傍細胞膜領域のタイプの突然変異を持つトランスジェニックマウスを作成した。現在その解析を始め、近いうちに結果が得られるものと思われる。 GIST症例の検討過程で、キナーゼドメインIIに機能獲得性突然変異を持つヒトの家族性多発性GIST家系をみつけた。突然変異を持つ患者にはやはりICCsのびまん性過形成を基盤とした多発性GISTが見られた。患者のほとんどが明らかな食道の狭窄性病変を伴わないにも関わらずアカラシア様の嚥下困難を示したためこの原因について調べた。患者の胃食道接合部にはICCsの過形成と考えられる像が、超音波内視鏡で観察され、これがアカラシア様の嚥下困難の原因と考えられた。今後このタイプのノックインマウスやトランスジェニックマウスも作成したい。
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