2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性がんB細胞性慢性リンパ性白血病の多段階発がん・転移進展機構の解析
Project/Area Number |
13214097
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
濱野 慶朋 順天堂大学, 医学部, 助手 (10281354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 幸子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (00127127)
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Keywords | B1細胞 / New Zealandマウス / B細胞性慢性リンパ性白血病(BCLL) / loss of heterozygosity(LOH) / 多段階発癌 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
B細胞性慢性リンパ性白血病(BCLL)は家族集積性や発症率の人種差から複数の感受性遺伝子による遺伝性癌の一つと考えられる。我々は、New Zealand White(NZW)マウス系がBCLLを自然発症することを見出し、遺伝学的解析によりBCLL前駆細胞の増殖に関わるいくつかの感受性遺伝子領域を明らかにした。さらにこれら前がん状態の細胞が悪性細胞へと変異する際に、多段階発癌機構が働いている可能性が示唆された。一方、近年、染色体のloss of heterozygosity(LOH)がヒトやマウスの腫瘍細胞で多数見出され、これまでに複数の癌関連遺伝子がLOHの位置をもとに同定されている。(NZW x B10.NZW)F1マウスにおいてもNZWと同様にBCLLが発症するので、本研究では、BCLLを発症した(NZW x B10.NZW)F1マウスから白血病細胞をFACSソーティングやmicrodis sectionにより分離しゲノムDNAのLOHを検討した。その結果マウス第2、3、4、7染色体にLOHが認められた。このうち第4染色体テロメア側及び第7染色体テロメア側には複数の個体で共通領域にLOHが認められ、両者ともNZW由来及びB10由来のいづれかがlossし、偏りがないため、これらのLOHのもたらす効果はその領域に含まれる遺伝子の用量効果である可能性が示唆された。興味深い事に、昨年度の我々のマイクロアレイによる遺伝子発現レベルの解析でBCLLで発現が低下していた癌抑制遺伝子Tsg101及び免疫抑制性遺伝子Tgfb1はマウス第7染色体上にマップされている。今後、これらの遺伝子を含め、LOHとマイクロアレイを対応させつつBCLL発症機構を総合的に解明していきたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hirose, S., Jiang, Y., Hamano, Y., Nishimura, H.: "Genetic aspect of hereditary B cell chronic lymphocytic leukemia"Drug of Today. (in press).
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[Publications] 濱野慶朋, 広瀬幸子, 白井俊一: "B細胞性慢性リンパ性白血病(B-CLL)の発症機序の解析"Proceedings of Japanese Society for Immunology. 31. 174 (2001)