2001 Fiscal Year Annual Research Report
p53関連遺伝子の細胞周期停止および細胞分化の調節機能
Project/Area Number |
13216006
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井川 俊太郎 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (50241576)
|
Keywords | p53 / p51 / p63 / p73 / IKK / NFkB / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
DNA異常をチェックする癌抑制遺伝子p53の機能欠損は、細胞に遺伝子異常の加速度的な蓄積をもたらし、その突然変異は、最も多種類の癌で、最も多頻度に検出される。p53の類似遺伝子としてp51、p73を単離した。これらは、癌抑制遺伝子としての機能を有するとともに、細胞、組織の分化発生の制御に深く関与していることが判明してきた。本研究を通して、p53ファミリー遺伝子の機能解明、癌治療への応用を目指す。特に本年度は、複数のアイソフォームの中でもN末端の転写活性化領域を欠くΔNp51Bは表皮幹細胞での特異的発現が観察され、IKKαはΔNp51Bと直接相互作用し、リン酸化する結果ΔNp51Bのプロテアソーム依存性分解を促進することが判明した。ΔNp51プロモーターの解析結果をあわせて、ΔNp51Bの発現が皮膚幹細胞の増殖維持に、IKKαを介したシグナルによるΔNp51Bの発現消失が皮膚角化細胞の分化には必須であることを見いだしている。これらのことは、炎症、ストレスによるアポトーシスを阻害するとともに発癌にも関与するNFκB経路と、p53ファミリー遺伝子が密接に関係することを示し、やはり、ストレスを感知してアポトーシスを誘導するP53の機能との共通性、関連性が示唆される。他のΔp51アイソフォーム、p73にも類似の性質を見出され、現在では、IKK signalosomeがいかにして、p51経路およびNFκB経路にシグナルを分配して伝達しているかを検討している。さらに、p53ファミリー遺伝子のキメラ遺伝子の豊富な多様性を利用して、これらのアデノウイルス組み換え体による遺伝子治療系の開発、p53ファミリー遺伝子の機能の解明を推進している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Kunisaki, R., Tani, K., Harata, M., Tanabe, T., Sekihara, H., Ishimoto, O., Ikawa, S., Asano, S.: "Antitumor-Effects of p51A(TAp63γ), p53 homologue, on p51 gene mutanted human cancers"Biochem.Biophys.Res.Comm.. (in press).
-
[Publications] Ishimoto, O., Kawahara, C., Enjo, K., Obinata, M., Nukiwa T., Ikawa S.: "Possible oncogenic potential of ΔNp73 a newly identified isoform of human p73"Cancer Res.. 62. 636-641 (2002)
-
[Publications] Takahashi, H., Fukutome, K., Watanabe, M., Furusato, M., Shiraishi, T., Ito, H., Suzuki, H., Ikawa, S., Hano, H.: "Mutation analysis of the p51 gene and correlation between p53, p73 and p51 expressions in prostatic carcinoma"Prostate. 47. 85-90 (2001)