2001 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生をターゲットにした癌悪性化阻止戦略―血管内皮細胞膜に存在するH^+-ATP合成酵素阻害剤のスクリーニングと癌治療への応用―
Project/Area Number |
13216077
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
新垣 尚捷 徳島大学, 薬学部, 助教授 (60151148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 明道 徳島大学, 歯学部, 助教授 (80136267)
樋口 富彦 徳島大学, 薬学部, 教授 (50035557)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 血管新生 / 血管新生阻害剤 / 癌転移 / ミトコンドリア / H^+-ATP合成酵素 |
Research Abstract |
血管新生を阻害して癌細胞を兵糧攻めにするというアイデアは、癌細胞のみを攻撃し、しかも重篤な副作用や獲得耐性の問題も起こりにくいと考えられることから魅力的で最も実用的な治療薬と考えられている。 申請代表者らは、癌細胞(K562やA549細胞等)及びヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に対するATPの増殖抑制機構を解析している過程で、「通常の正常細胞や癌細胞ではミトコンドリアにしか存在しないH^+-ATP合成酵素が、HUVECやある種の癌細胞では、細胞膜表面に存在する」ことを示唆した。本研究では、まず、実際にHUVECの細胞膜表面にH^+-ATP合成酵素が存在し、酵素学的な活性(ATP合成活性)を保持しているかどうかを解析し以下の二つの重要な発見をした。 1.細胞外に添加したADPと無機リン酸から細胞外及び細胞内で合成されるATP量を測定することにより、HUVECは細胞外でADPと無機リン酸からATPを合成できることを証明した。 2.このHUVECによる細胞外ATP合成活性が、H^+-ATP合成酵素複合体の触媒部位F1に結合してH^+-ATP合成酵素を阻害するPiceatannol, Resveratrol及びEfrapeptinにより強く阻害されることを明らかにした。 これらの結果は、HUVECの細胞膜にはATP合成能を保持したH^+-ATP合成酵素複合体が存在し、しかもATP合成を担っているF1部分が細胞膜の外側に存在することを示している。 以上の研究成果により、HUVEC細胞膜H^+-ATP合成酵素のF1を標的とした薬剤が血管内皮細胞に選択的に作用する極めて有効な抗血管新生薬として、従来の制癌剤の難点を克服する新しい癌治療薬となる可能性を示した。現在、投稿中の論文が2報。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Warn, R., et al.: "Hgf/sf induces methothelial cell migration and proliferation by autocrine and paracrine pathways"Exp. Cell Res.. 267. 258-266 (2001)
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[Publications] Arakaki, N., et al.: "Stoichiometry of subunit e in rat liver mitochondrial H^+-ATP synthase and membrane topology of its putative Ca^<2+>-dependent regulatory region"Biochim. Biophys. Acta. 1504. 220-228 (2001)