2004 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼ基質分子による腫瘍転移・浸潤の制御
Project/Area Number |
13216108
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
堺 隆一 国立がんセンター(研究所), 細胞増殖因子研究部, 部長 (40215603)
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Keywords | チロシンリン酸化 / ドッキング分子 / 神経芽種 / パキシリン / Srcファミリー / 細胞運動能 / 転移脳 / 腫瘍転移能 |
Research Abstract |
神経芽腫細胞株で高頻度にチロシンリン酸化を受けているドッキング分子ShcCの機能を知るために、ShcCの野生型及び各種変異体を神経芽細胞腫細胞株に導入し生化学的・生物学的影響を解析した。その結果、ShcCはそのGrb2結合部位を介して下流のPI3K-Akt経路やMAPK経路を制御しているだけでなく、野生型の過剰発現によりヌードマウスの造腫瘍能や足場非依存性増殖能に対し著明な抑制効果を持つことを明らかにした。このようなShcCの腫瘍に対する抑制的な作用はSH2ドメインを欠損したShcCでは見られず、SH2ドメインを介した作用であると考えられた。また浮遊状態での腫瘍細胞のSrcファミリーの活性がShcCの発現により抑制されることから、Srcファミリーの活性制御を介したShcCの新規機能の存在が示唆された。 骨肉腫細胞株Hu09の転移性の異なる亜株群を用いて、その転移能に関わるチロシンリン酸化蛋白質の探索を行った。その結果、高転移能を有する細胞群で、細胞接着斑に集積する蛋白質パキシリンの過剰発現及びチロシンリン酸化亢進を見いだした。RNAiによりパキシリン発現を抑制すると高転移性の細胞株の運動能が下がること、SrcファミリーのキナーゼFynとパキシリンを共発現させると低転移性のの細胞株の運動能は相乗的に増加すること、パキシリンのチロシンリン酸化部位の変異体ではこのような作用は見られないことなどから、Fynキナーゼの活性化とそれによるパキシリンのチロシンリン酸化が骨肉腫細胞において協調的に運動能を制御し転移能に関わっていることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)