2002 Fiscal Year Annual Research Report
リボザイムライブラリーを用いた細胞癌化に関わる新規分子標的の探索と細胞内機能解析
Project/Area Number |
13218025
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 広明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60332623)
|
Keywords | ハイブリッド型リボザイム / 癌標的分子 / 癌転移 / 機能遺伝子探索 / ROCK1 / RNAヘリカーゼ / リボザイムライブラリー / 細胞運動 |
Research Abstract |
リボザイムは、配列特異的にRNAを切断することが可能な酵素であり、癌やウイルス疾患の原因遺伝子を標的とした遺伝子治療剤としての可能性が期待されている。本研究において基質認識部位をランダマイズしたハイブリッド型リボザイムライブラリーを用いた新規機能遺伝子探索法(ジーンディスカバリーシステム)を開発し、それを用いて新たな癌標的分子を同定することを目的としている。本研究では、ハイブリッド型リボザイムライブラリーを用いて癌抑制遺伝子p16の発現を指標にスクリーニングをおこない、細胞癌化に関わる可能性があるHDAC1やDNAのメチル化に関わるMeCP2などが同定することに成功した。またリボザイムライブラリーを用いたジーンディスカバリーシステムのさらなる可能性を検討するために癌転移に関わる機能遺伝子の探索を試みた。このスクリーニングの原理としては、転移能の高いヒトHT1080細胞にリボザイムライブラリーを導入し、転移能の擬似的実験系であるケモタキシスアッセイにより表現型の変化した細胞の検出、選別及び回収を行った。これらの細胞からリボザイム発現プラスミドを単離し、回収されたプラスミド中のリボザイムのシーケンス確認行った。その結果、細胞運動、転移に関与することが示唆されているROCK1遺伝子を標的とするリボザイムをはじめ多数の標的因子が同定され、新規機能遺伝子についても多数同定することに成功した。また、ROCK1を標的としたリボザイムは、RT-PCRの結果から確かにROCK1の発現を抑制した。それに伴い、ケモタキシスアッセイの結果から細胞運動も抑制することが確認された。現在、ROCK1について細胞運動・転移メカニズムの一端を解明すべく、詳細な解析を続けている。以上の結果から、リボザイムリブラリーを用いたジーンディスカバリーシステムは、癌治療の標的分子の探索に有益な手法になることが期待できると考えられる。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Hiroaki Kawasaki: "siRNAs generated by recombinant human Dicer induce specific and significant but target site-independent gene silencing in human cells"Nucleic Acids Research. 31. 981-987 (2003)
-
[Publications] Hiroaki Kawasaki: "Short hairpin type of dsRNAs that are controlled by tRNA(Val) promoter significantly induce RNAi-mediated gene silencing in the cytoplasm of human cells"Nucleic Acids Research. 31. 700-707 (2003)
-
[Publications] Eigo Suyama: "Identification of genes responsible for cell migration by a library of randomized ribozymes"Cancer Research. 63. 119-124 (2003)
-
[Publications] Hiroaki Kawasaki: "A functional gene discovery in the Fas-medited pathway to apoptosis by analysis of transiently expressed randomized hybrid-ribozyme libraries"Nucleic Acids Research. 30. 3609-3614 (2002)
-
[Publications] Hiroaki Kawasaki: "Identification of genes by hybrid-ribozymes that couple cleavage activity with the unwinding activity of an endogenous RNA helicase"EMBO Reports. 3. 443-450 (2002)
-
[Publications] Hiroaki Kawasaki: "Identification of genes that function in the TNF-a-mediated apoptotic pathway using randomized hybrid ribozyme libraries"Nature Biotechnology. 20. 376-380 (2002)
-
[Publications] Hiroaki Kawasaki: "Perspectives in Gene Expression"Eaton Publishing(In press). (2003)