2001 Fiscal Year Annual Research Report
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13218034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
影近 弘之 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (20177348)
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Keywords | レチノイド / RAR / RXR / 核内受容体 / 分化誘導 / アンタゴニスト / シナジスト / カルボイン |
Research Abstract |
レチノイドは、核内受容体RAR、RXRと結合・活性化することにより、特異的応答遺伝子の発現を制御し、細胞の分化、増殖、形態形成などの重要な生命現象を制御している。レチノイン酸は急性前骨髄球性白血病(APL)の分化誘導療法剤としての有効性が認知されているものの、その多様な副作用に加え、耐性化、限られた適応範囲などの問題点が指摘されている。本研究では、レチノイドの多彩な生理作用を制御し、様々な癌治療への臨床応用を目的として、レチノイドの複数存在する核内受容体に対して特異的なアゴニストおよびアンタゴニストの創製を行った。筆者らが報告したRARレチノイドAm80をリード化合物としてその疎水性領域にホウ素クラスター(カルボラン)を導入した化合物を合成したところ、高いヒト白血病細胞HL-60の分化誘導能ならびにRAR転写活性化能を示す化合物を得た。これらは体内動態や臓器分布に特異性を発揮すると考えられる。また、カルボランの高いホウ素含有率から、RARを標的とした癌の中性子療法への応用が期待できる。 RXRに対しては、本研究者が報告したRXRアゴニストの構造を展開し、より強力なアゴニストPA024及びアンタゴニストHX531を見いだした。PA024はそれ自身ではHL-6Oの増殖・分化に全く影響を与えないが、共存するレチノイドの作用を強力に増強し、その活性は現在最も強いRXR特異的リガンドとして知られているLG268と同等以上であった。一方、ヘテロダイマーを抑制するRXRリガンドは知られておらず、種々の系でHX53lの活性を検討したところ、RXR-RARダイマー以外にも、PPAR-RXRダイマーのアンタゴニストとして機能し、サイトカイン・ホルモン分泌制御を行うことを示した。これらのRXRリガンドはレチノイド療法としてばかりでなく、他のホルモン療法での単独、併用効果が期待できる。
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[Publications] Mayumi Sato: "Synergistic potentiation of thiazolidinedione-induced ST13 preadipocyte differentiation by RAR synergists"Bionchem. Biophys. Res. Commun.. 280. 646-651 (2001)
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[Publications] Masayuki Endo: "Novel Retinoidal Tropolone Derivatives. Bioisosteric Relationship of Tropolone Ring with Benzoic Acid Moiety in Retinoid Structure"Chem. Pharm. Bull.. 49.4. 501-503 (2001)
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[Publications] Yasuyuki Endo: "Structure-Activity Study of Retinoid Agonists Bearing Dicarba-closo-dodecaborane"Bioorg. Med. Chem. Lett.. 11・10. 1307-1311 (2001)
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[Publications] Toshimasa Yamauchi: "Inhibition of RXR and PPARgamma ameliorates diet-induced obesity and type 2 diabetes"J. Clin. Invest.. 108・7. 1001-1013 (2001)