2001 Fiscal Year Annual Research Report
IGF-I受容体による放射線抵抗性シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
13218045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三浦 雅彦 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10272600)
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Keywords | IGF-I受容体 / シグナル伝達 / PI3キナーゼ / MADキナーゼ / Mutational analysis / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
変異型IGF-I受容体をIGF-IR(-/-)細胞(R-)に発現させて放射線抵抗性シグナル伝達経路を解析するにあたり、まず、抵抗性の指標について検討した。強力なアポトーシス抑制能を持つとされるIGF-IRであるが、野生型ヒトIGF-IRを発現させたR-細胞の中に、電離放射線照射後、アポトーシス抑制能を示すものと示さないものが得られた。意外なことに、得られた様々な発現量を有するクローンは、コロニー法による放射線感受性でみる限り、すべてR-細胞より放射線抵抗性を示した。このことは、mutational analysisを進めるにあたり、コロニー法を指標とすべきであること、また、コロニー法による放射線感受性は、アポトーシス抑制能に必ずしも相関しないことを示しており、臨床的にも示唆に富んだ結果であった(Clin. Cancer Res.,7,3206-3214,2001)。IGF-IRは、膜貫通型チロシンキナーゼであり、IGF-I, IIの結合により活性化されPI3キナーゼ、MAPキナ-ゼ経路を含む種々のシグナルが伝達される。IGF-IRによるコロニー法を指標とした放射線抵抗性がシグナル伝達に起因するものかを確認するために、チロシンキナーゼドメイン以下の領域を欠損した変異体を作製し、放射線感受性を調べた。R-細胞と全く同様な放射線感受性を示すことが判明し、シグナル伝達機能が必須であると証明された。そこで、IGF-IRの細胞死抑制効果の主要な役割を担うとされるPI3-キナーゼを活性化するドメインNPXY^<950>, Y^<1316>XXMそれぞれまたは両方のチロシンをフェニルアラニンに変異させたIGF-IRの放射線感受性を調べた。我々の用いた細胞において、IGF-I刺激によるPI3-キナーゼ経路の活性化は、Y950が重要で、Y1316の寄与は無視できること、また、いずれの変異体も野生型IGF-IRと全く同じ抵抗性を示すことがわかった。このことは、少なくともPI3-キナーゼ経路は必須ではないことを示している。MAPキナーゼを活性化する領域について現在検討を加えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tezuka, M. et al.: "Antiapoptotic activity is dispensable for IGF-I receptor-mediated clonogenic radioresistance after γ-irradiation"Clinical Cancer Research. 7. 3206-3214 (2001)
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[Publications] Miura, M. et al.: "Dynamic changes in subnuclear NP95 location during the cell cycle and its spatial relationship with DNA replication foci"Experimental Cell Research. 263. 202-208 (2001)