2001 Fiscal Year Annual Research Report
幼若Tリンパ球への遺伝子導入に基づいたがん免疫療法の開発
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13218092
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高濱 洋介 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (20183858)
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Keywords | Tリンパ球 / 細胞分化 / 胸腺 / 遺伝子治療 / アポトーシス / Nurr77 / 正と負の選択 / 免疫療法 |
Research Abstract |
本研究は、幼若Tリンパ球への遺伝子導入に基づいたがん免疫療法を開発する目的で、導入遺伝子の人為的な発現制御を可能にするような幼若Tリンパ球への遺伝子導入法を開発するとともに、Tリンパ球の正と負の選択における細胞生死分岐を決定する細胞内信号伝達分子の解明を目指した。そのために、Reverse-Tet応答配列またはestradiol制御部位を利用した遺伝子発現誘導ベクター系の開発改良をおこなった。また、負の選択におけるアポトーシス誘導に必須の関与を示す転写因子Nur77がTリンパ球内でセリンスレオニンキナーゼのひとつAktによって直接リン酸化され、その結果としてNur77の転写活性が抑えられることが明らかになった。一方、PI3キナーゼ阻害剤は正の選択プロセスを含むTリンパ球分化を抑制した。これらの結果から、正の選択においてはTCRシグナルの下流にてPI3キナーゼの活性化を経てAkt活性化へと至るシグナル伝達経路の発動がNur77のリン酸化をもたらし、その結果Nur77のアポトーシス誘導機能を抑制することが示唆された。すなわち、正と負の選択におけるTリンパ球の生死運命分岐に新たな制御スイッチが存在することが示唆された。この成果は、Tリンパ球による自己・非自己識別の分子基盤についてよりよき理解をもたらしたとともに、細胞の生存増殖シグナルと細胞死シグナルの人為的スイッチにもとづくがん治療法の開発に有用であると考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ueno, T., et al.: "Role for CCR7 ligands in the emigration of newly generated T lymphocytes from the thymus"Immunity. (in press). (2002)
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[Publications] Sano, S., et al.: "Stat3 in thymic epithelial cells is essential for postnatal maintenance of thymic architecture and thymocyte survival"Immunity. 15. 261-273 (2001)
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[Publications] Masuyama, N., et al.: "Akt inhibits the orphan nuclear receptor Nur77 and T cell apoptosis"J Biological Chemistry. 276. 32799-32805 (2001)
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[Publications] Tada, M., et al.: "Nuclear reprogramming of somatic cells by in vitro hybridization with ES cells"Current Biology. 11. 1553-1558 (2001)
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[Publications] Yoh, K., et al.: "Transgenic over-expression of Mafk suppresses T cell proliferation and function in vivo"Genes to Cells. 6. 1055-1066 (2001)
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[Publications] Takahama, Y.: "Genetic modulation of immature T lymphocytes and its application"J. Med. Invest.. 48. 25-30 (2001)
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[Publications] 鈴木大介: "実験医学増刊号 免疫研究の最前線2001"羊土社. 7 (2001)