2003 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の内在性アポトーシス阻害因子とこれを標的とした抗腫瘍薬剤の探索
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13218135
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
馬島 哲夫 財団法人癌研究会, 癌化学療法センター・基礎研究部, 研究員 (30311228)
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Keywords | グリオキサラーゼ / IAP / 薬剤耐性 / アポトーシス / アポトソーム / Apaf-1 / 癌 |
Research Abstract |
癌細胞はその腫瘍形成の過程でアポトーシス機構の異常が生じ、多くの化学療法剤に対する耐性化の一因となっている。本研究では、このアポトーシス失活に関与する腫瘍選択的な因子を検索し、これらを阻害する化合物やアポトーシス変異をバイパスする薬剤の検索を試みる。本年度は以下のことを明らかにした。1.アポトーシス耐性に関わる因子グリオキサラーゼI(GLO1)について、その活性およびプロモーターを抑制する化合物を検索した。その結果、GLO1プロモーター阻害活性をもつ化合物PIP-MREを見い出した。2.ヒト固形がんのアポトーシス耐性に関わる因子としてHsp27やIAPの関与を明かにしている。今回、IAPによるアポトソーム阻害には発現レベルにおける閾値が存在し、この閾値を超えた発現亢進が難治性ヒト非小細胞肺がん臨床サンプルにおいて高頻度に認められることを明かにした。さらに、IAPを阻害する新規細胞透過性ペプチドsmac-N7R8をデザインし、これがシスプラチンやパクリタキセルによる腫瘍増殖抑制をin vitroおよびin vivoにおいて効果的に増強することを示した。3.化学療法抵抗性であるp53変異がんの多くでその下流のアポトソーム系は失活しておらず、従ってp53変異をバイパスしアポトソームを活性化する薬剤は、p53変異がんに対して有効な腫瘍増殖抑制剤となりうる。今回、p53変異がんの多くのアポトソーム系は、各種ヒト正常細胞と比較して顕著な亢進を示し、これが細胞周期の進行に依存していることを見出した。さらに3000化合物を対象としてコンピューターによる相関解析を行ない、アポトソーム活性レベルに相関して細胞死を誘導する化合物群を抽出し、p53変異がんに選択性をもつ化合物JCI-133を見出した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yang, L.: "Predominant suppression of apoptosome by IAP in non-small cell lug cancer H460 Cells : therapeutic effect of a novel polyarginine-conjugated Smac peptide."Cancer Res.. 63. 831-837 (2003)
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[Publications] Tsuruo, T.: "Molecular targeting therapy of cancer : drug resistance, apoptosis and survival signal."Cancer Sci.. 94. 15-21 (2003)