2001 Fiscal Year Annual Research Report
キメラ抗体と抗癌剤の複合体の抗腫瘍効果増強と癌細胞の遺伝子レベルの機能変化の解析
Project/Area Number |
13218138
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
山口 俊晴 財団法人癌研究会, 癌研究所, 研究員 (90111327)
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Keywords | キメラ抗体 / 抗癌剤 / 免疫複合体 / 遺伝子変化 / 接着分子 / 胃癌 / 抗腫瘍効果 / 併用療法 |
Research Abstract |
●キメラ抗体の作製と複合体の合成:A7キメラ抗体を遺伝子組み替え酵母培養液から精製した。分子量4万のデキストランと抗癌剤(ネオカルチノスタチン、マイトマイシンC、アドリアマイシン)との結合体を合成し、抗体と架橋剤を用いて結合し複合体を合成した。その抗体活性および、抗癌活性がほぼ100%保持されていることを確認した。 ●抗体と抗原分子との結合に伴う細胞の機能変化の解析:抗体とともに癌細胞を培養することで、その増殖パターンや形態学的な変化を検討したところ、抗体の添加によりシャーレに付着した癌細胞は剥離する傾向を示し、形態学的にも非添加群に比較して球状に近い形態を示した。しかし、遺伝子レベルにおける増殖因子に関連した遺伝子変化は証明できなかった。蛋白レベルでは、接着因子の発現が抗体添加群でやや増強されたが、有意の差は認められなかった。 ●抗癌剤との至適組合わせの検討:A7と併用することで、ネオカルチノスタチン、マイトマイシンC、アドリアマイシン、シスプラチンなどはいずれも抗腫瘍効果は増強されたが、5-FU等の代謝拮抗剤ではその様な効果は認められなかった。 ●ネオカルチノスタチンと結合したデキストランとキメラ抗体との複合体の効果の検討:複合体単独、抗体単独、抗癌剤単独、抗体と抗癌剤の併用の4つの群に分けて抗腫瘍効果を検討した。標的癌細胞としてA7認識抗原の発現されている胃癌培養癌細胞株MKN45を使用した。最も高い抗腫瘍効果は複合体単独群および抗体と抗癌剤の併用群で観察され、両者はほぼ同等の抗腫瘍効果を示した。ついで、抗癌剤単独が抗腫瘍効果が高く、抗体単独では抗腫瘍効果は認められなかった。
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[Publications] Kokudo N: "Proliferative activity of intrahepatic colorectal metastases after preoperative hemihepatic portal vein embolization"Hepatology. 34. 267-272 (2001)
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[Publications] 山口俊晴: "胃癌治療のガイドラインをめぐって-癌治療の新しい潮流-"日本医師会雑誌. 127. 67-72 (2002)
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[Publications] 山口俊晴: "モノクローナル抗体による癌治療"Drug Delivery System. 17. 29-34 (2002)
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[Publications] 山口俊晴: "胃癌のSentinel Node Navigation Surgery"外科. 63. 819-822 (2001)
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[Publications] 山口俊晴: "標準的D2郭清手術"外科. 63. 1169-1173 (2001)
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[Publications] 山口俊晴: "胃癌/幽門側胃切除"手術. 55. 1304-1308 (2001)
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[Publications] 山口俊晴: "消化器癌の外科治療-専門医に聞く最新の臨床"上西紀夫、田中雅夫編、中外医学社. 324 (2001)