2001 Fiscal Year Annual Research Report
グローバルな規模で進展する情報経済と新たな社会制度デザインに関する研究
Project/Area Number |
13224016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須藤 修 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (10179286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀幸 東京大学, 社会情報研究所, 助教授 (30332589)
出口 弘 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60192655)
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Keywords | 情報経済 / 社会進化 / 制度デザイン / 中間組織 / 共有材 / 技術転換 / 知的財産権 / 分散型生産システム |
Research Abstract |
情報経済という新しいパラダイムにおける社会構造変動を予測し新たな制度設計を行うためには、社会的諸構成要素の相互作用を明示的に扱える新しい理論的枠組みが必要になる。ゆえに今年度は海外の研究者との研究会等も数回開催しながら理論及び分析手法の高度化に重点を置いて研究を進め、以下のことを明らかにした。 産業基盤として離陸するまでの技術軌道は不確実なため、持続的な経済成長には技術革新の進化を制御する必要があるという仮説を立ててシミュレーション分析を行った結果、既存知識ストックの償却率は長期的に0.1〜1%と小さかった。 計量分析、経済理論の比較分析及び大衆著作物の産業分析の結果、オープンソース・ソフトウェア等の財の効用を測定するためには、関係性の中で絶えず変化する動的情報の特性を明示的に取り入れて知識財のもつ共有という側面を活かすことが重要であるとわかった。 上記研究成果から情報経済下の社会進化モデルには中間組織を明示的に取り入れるべきであるという仮説を立て、その主要な機能領域を下記3つに整理してモデルの有用性を検証した。 (1)コーデイネーター:地域社会の諸構成要素の利害調整、補完的な制度的枠組みの生成及び社会資本の高度化を促進し、情報経済を核にした地域社会発展を実現しうる。 (2)TTP(信頼できる第三者機関):複数のTTPが相互評価に晒される環境を整えれば、電子商取引市場において取引当事者間の信頼を醸成し、新しい財・サービスの利用を円滑に進めうる。 (3)社会的評価・価値創造:工業製品設計に関する知識をネットワーク上で共有して研究開発を行えば、知識の社会的な相互評価と共有財的な付加価値創造が促され高度産業集積地域においてオープンな分散型生産システムを創出しうる。 これら3つの機能領域は複合的に重なり合い、政府、市場、中間組織との間の役割分担をダイナミックに変化させながら将来の社会進化が進むと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Osamu Sudoh: "Digital Economy and sustainable Development"Conference Presentation Papers on National, Regional and Global Transition : A common Agenda for Anglo-Japanese Relations in the Twenty-first Century (Anglo-Japanese Academy ed.) University of Sheffield and University of Tokyo. 265-271 (2001)
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[Publications] Osamu Sudoh: "The Digital Revolution and the Evolution of e-Government"The International Symposium presentation Papers on the IT Revolution : Challenges from Innovation in Information and Communication Technology and the Role of Governinen+ (Institute of International Policy Studies ed.) Institute of International Policy Studies. 1-15 (2001)
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[Publications] 須藤 修: "IT革命とソシオ・インフォマティクス"学術月報. 54・4. 369-373 (2001)
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[Publications] 須藤 修: "情報と国境"(樺山紘一ほか編)20世紀の定義-第4巻越境と難民の世紀(岩波書店). 3-17 (2001)
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[Publications] Hiroshi Deguchi, Takao Terano, Koichi Kurumatani, Toshiyuki Kaneda, Hiroyuki Matsui, Taro Yuzawa, Akio Sashima, Yusuke Koyama, Hao Lee, Masato Kobayashi: "Virtual Economy-Agent Based Modeling & Simulation of National Economy"Agent-Based Approaches in Economics and Social Complex Systems (Akira Namatame, Takao Terano, Koichi Kuramatani eds.). (IOS Press). 198-207 (2001)
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[Publications] 出口 弘: "消費者と直結した分散型の生産システムと産業構造のビジョン"第24回計測自動制御学会システム工学部研究会「分散オープン型ものづくりの生産システム」. PG0013・01. 7-12 (2001)