2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13224032
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
入来 篤史 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70184843)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田岡 三希 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80236174)
横地 博子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50345295)
田中 美智雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教務職員 (00057738)
|
Keywords | 行動学 / 神経科学 / 情報工学 / 生理学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
前年度までは、道具の使途理解、目的達成のために推論に基づく道具使用計画を要する様々な『直接的道具操作課題』をニホンザルに課し、その課題遂行前後の行動・運動の様式の変化を経時的に定量化することで高次認知・運動機能の習得過程を行動学的に検討し、それらの結果をもとにして関与する脳領域の予測を数理モデルを構築することで実現し、その仮説を課題遂行中の脳内活動部位を機能画像的解析により特定・検証した。 今年度は、上記成果の基盤の上にさらに発展させて『抽象的・概念的道具操作課題』に本格的にとりくみ、「問題解決能力」「推論能力」「抽象概念」などの新規高次機能がニホンザルに強制発現する過程の観測に着手した。その初段階となる具体的な成果として、これまでは静的な身体像をコードするニューロン群の活動特性を解析してきたが、今年度は前腕の関節変位の感覚とそれによって空間内を移動する手の先端の視覚像の動きの方向を統合することによって、動的な「身体行為」のイメージをコードすることに関与するニューロン群を頭頂葉に見出した。これらのニューロンの活動特性は、関節変位感覚と視覚的運動方向を単に受動的に統合するのみではなく、身体感覚を基盤として空間そのものの動的構造を能動的に構成して心的表象を積極的に形成することに寄与することが示唆された。これらは身体性に立脚した「動的行為」の抽象化の初段階を構成するものと想定され、さらに高次の「行為構造」や、より発展した「問題解決能力」「推論能力」などの表象獲得の萌芽となるものと期待される。また、道具使用訓練によって、上記ニューロン群が存在する皮質領域へ運動視情報を入力する神経回路が新たに形成されるとの解剖学的知見を得ることも出来た。これらの生理学的・解剖学的知見により、最終的に「抽象概念」を形成してそれに基づく「法則・原理」の表象獲得を実現する基盤的知見が整ったものと考えられる。
|
Research Products
(7 results)