2001 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の構造と機能の予測のための計算資源提供型広域計算
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13224070
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
網崎 孝志 鳥取大学, 医学部, 教授 (20231996)
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Keywords | GRID / MD-Engine / 分子動力学 / 高速多重極法 |
Research Abstract |
ポストゲノム時代の最優先課題として、遺伝子にコードされているタンパク質の構造と機能の予測が急務である。分子動力学(MD)シミュレーションは、そのための手法の最有力候補と考えられているが、その最大の問題点は、長距離静電相互作用の計算に膨大な時間が必要となることである。これを解決する方策として、高速多重極法(FMM)をはじめとする高速アルゴリズムが提案されているが、これらはいずれも一種の近似法であり、高精度の計算では、依然として莫大な計算量が必要となる。本研究では、高速アルゴリズムと二体相互作用計算専用ボード(MD-Engine)の併用システムにより強大な計算資源をもつサイトを構築し、それをGRID技術を利用して遠隔地のタンパク質科学者に提供することを計画している。今年度は、まず、その基本設計を行なった。その結果、MD計算方式には、相互作用提供型、単一MD提供型、多重MD提供型という三種のものが必要となることが判明した。また、サイト内のソフトウェア機構として、資源マネージャ/ジョブマネージャ/計算ボードマネージャ/計算コンポーネントという階層的管理機構を設計した。このうち、計算ボードマネージャの中核部分を実装した。すなわち、まず、計算ボード上において、各粒子の近傍領域に存在する粒子を選別するためのアルゴリズムを開発した。これは三次元巡回バッファ方式に基づいており、高速アルゴリズムとの併用において、中核となる機構である。また、ノード内での効率的な並列処理を行うため、再帰バイセクション法に基づく静的負荷分散アルゴリズムを開発した。
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