2002 Fiscal Year Annual Research Report
結核菌のマクロファージ活性化と細胞内寄生の分子機構
Project/Area Number |
13226042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光山 正雄 京都大学, 医学研究科, 教授 (10117260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 伊久雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (20214695)
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Keywords | 結核菌 / マクロファージ / サイトカイン / 病原因子 / リステリア / エスケープ |
Research Abstract |
マクロファージの殺菌をエスケープして細胞内寄生を可能とし、宿主に強いサイトカイン応答を誘導する結核菌およびリステリア属菌が示すマクロファージ活性化の分子機構を明らかにする目的で研究を行い、次の成績が得られた。(1)BCGにトランスポソン挿入して数十の変異株が得られたが、その中には著明なサイトカイン誘導活性を喪失したものはみられなかった。また、これまで確立した観察方法でみる限り、P-L fusionの抑制活性の喪失変異株も認められなかった。結核菌(H37Rv株)における変異株作製は進行中である。(2)結核菌生菌の培養上清中に存在するIL-12産生誘導活性因子は、易熱性でプロテアーゼ処理で失活する蛋白が主体で、分子量や約20,000前後と孝えられたので、精製を進め、アミノ酸配列を決定しつつある。(3)結核菌生菌や分泌性の活性蛋白によるIL-12などTH1サイトカインの誘導には、マクロファージ表層のTLR2を介したシグナル伝達が必要であり、CD14やTLR4は関与しないことがノックアウトマウスを用いて明かとなった。(4)結核菌のリファンピシン耐性を規定するrpoB遺伝子の特定の変異誘導に、活性酸素が関与することを支持する成績が得られ、マクロファージ内での結核菌の持続的細胞内寄生が耐性変異頻度を高める可能性が示唆された。(5)別種の細胞内寄生菌であるリステリア(Listeria monocytogenes)を用いて、細胞内寄生とマクロファージ活性化(サイトカイン発現誘導)の関連を解析し、食胞からの脱出がサイトカイン発現に必須であるが、加えて細胞質へエスケープした菌がサイトカイン誘導活性の高いサイトリシン蛋白を産生することが必要であることが明かとなった。この結果はさらに、単なるグラム陽性菌の菌体表層構造だけでは実際には強いTH1応答は誘導されないことを示した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nomura, T et al.: "Essential role of interleukin 12 (IL-12) and II-18 for gamma interferon production induced by listeriolysin O in thespleen cells of"Infect.Immun.. 70(3). 1049-1055 (2002)
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[Publications] Kohda, C. et al.: "Dissociated linkage of cytokine-inducing activity and cytotoxicity to different domains of listeriolysin O fromListeria monocytogenes"Infect.Immun.. 70(3). 1334-1341 (2002)
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[Publications] Ito, Y.et al.: "Seeligeriolysin O, a cholesterol-dependent cytolysin of Listeria seeligeri, induces gamma interferon from spleen cells of mice"Infect.Immun.. 71(1). 234-241 (2003)
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[Publications] Mitsui, T. et al.: "Impaired neutrophil maturation in truncated murine G-CSF receptor-transgenic mice"Blood. 101(5)(in press). (2003)
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[Publications] Kimoto, T. et al.: "Differences in gamma interferon production induced by listeriolysin O and ivanolysin O result in different levels of protectiveimmunity in mice infected with Listeria monocytogenes and Listeria ivanovii"Infect.Immun.. 71(5)(in press). (2003)
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[Publications] 光山正雄: "リステリア菌の感染メカニズム"感染・炎症・免疫. 32(3). 158-167 (2002)
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[Publications] 光山正雄: "戸田新細菌学改訂第32版(分担執筆)"南山堂(東京). 1042 (2002)